機材の変遷② ミザール ネレイド型(6cm F13.3屈折経緯台)

ねだりにねだって小学3年生の誕生日に買ってもらったのは、日野金属産業(ミザール)6センチのネレイド型でした。父は私の教育については全く口を挟まず一切の干渉をしない人でしたが、私が興味を持ったことについて黙って理解を示してくれたことには今になって本当に感謝するところです。

で、このネレイド型、6センチF13.3のアクロマートで、微動ナシのヨーク式経緯台に載っていました。有名なエース型と大変良く似た構成でしたが、エース型が焦点距離1000mmのF16.7だったのに対して、ネレイド型は800mmと短めでありました。当時は屈折望遠鏡と言えばF15が標準で、F12は明るくて色収差が出るとされ、F10以下なんて極端な短焦点の異端児だとされた時代です。カートン光学の6cmがF7でコメットシーカーを名乗っていました。ちなみに、このネレイド型接眼鏡は変形ハイゲンスのF20、12.5、8の三本で、最高倍率は100倍でした。

ネレイド型につけて使った
AH-40mmとミューフィルター
この望遠鏡では本当に色々眺めました。色収差はありましたが、月面、木星の縞模様、土星の環、金星の満ち欠け、太陽黒点と、本当に楽しめたものでした。明け方の土星を眺めているときに、たまたま起きてきた母に無理矢理見せたりしていました。

しかし、都会の空のオリオン星雲に望遠鏡を向けてみて、小口径入門機の限界を感じます。お年玉をはたいて24.5mm径最大のAH-40mm(アクロマートハイゲンス)と、光害カットμフィルターを買って眺めたわけですが、やはりわずかな光のシミが見えるだけだったのでした。写真で見えるような美しい姿は見えませんし、系外銀河などは全く見えませんでした。

また、カメラを取り付けて写真にもトライしましたが、長い筒の端につける一眼レフは重たく、クランプを締めてもうまく止まらず、揺れも止まらず、こればかりはどうにもなりませんでした。

当時、CANONのFTbというフルマニュアルのカメラを中古で手に入れて撮影を試みていました。フィルムもトライXだとか当時最高感度だったフジカラー1600だとかを色々試してみましたが、結局撮れたのはブレブレの月と、やはり何重にもブレた土星くらいなものでした。(サクラカラ―GX3200が出たときには早速に試したなぁ)

それでもブレた像の中に輪っからしきものが映っていたりして、それだけで嬉しかったのを覚えています。

しかし使い込むにつれて、微動が無い架台や24.5mmしか使えない接眼部、剛性のないプラスチック鏡筒、そして何より口径に限界を感じるようになっていったわけです。

ちょうどそのころ、世間では回帰してきたハレー彗星が再発見されたというニュースが話題になったりしていました。
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