エコノミー機材⑩ B級(?)広角アイピース短評

広角系のアイピースは、光学設計の良し悪しがかなり決め手になってくるジャンルです。
そして私の手元には、なぜか気が付いたらB級(?,失礼!)アイピースばかりになってしまっているのですが、一度これらについてまとめてみました。
(内容は主観100%のポエムです。ゴメンナサイ!)
※2019.10.6 にUWA16mmの記事を、2021.8.29に UF18mmの記事を追記しました。必ずしもB級ばかりではなく、低~中倍率の広角接眼レンズが収録されています。

■ 評価条件等
 評価は20cm/F5ニュートン+Skywatcher コマコレクターで行っております(一部合焦しないものを除く)。総合評価は、中心から周辺までの像質や迷光の状態のだけでなく、視野の広さを含めたお気楽アイピースとしての使い勝手や観察対象の範囲なども加味して主観で評価をつけています。
 また、星雲観望用途であって測定用ではないことを踏まえて、歪曲収差は評価しておりません(というか、星を見ていても視野を動かさないと多くの場合で歪曲は分からない)。評価対象の「像面湾曲」は、コマコレクター付きニュートンの焦点面がほぼ平面だと仮定して、視野中心と周辺での合焦位置のズレを見ています。歪曲収差のことではありませんのでご留意ください。
 いずれにせよ、評価は使用する鏡筒やお気に入りの対象天体などの条件によって変わってくるものだということを念頭に置いた上でご覧ください。

※以下、B級を前提とした相対評価で★がついておりますのでご留意ください。
※※スペック値「実視野能」は、アイピース単体で実視界の広い/狭いを評価する数値で、「焦点距離×見掛け視界」の値です。詳しくはリンク先をご覧ください。

■ BORG Ultra Wide 9mm
[fl=9mm, FOV=66°, 実視野能=594, 1.25"]
総合:★★★
像:中心A,  50%視野A-, 80%視野A-, 100%視野A-
像面湾曲:A,  迷光: A

BORG Ultra Wide 9mm
BORG Ultra Wide 9mm
このBORG のUltra Wide 9mmは、同スペック同デザインのものがいくつか販売されているようで、Orion の Expanse Wide Field や、SvBONYの UW などが見掛けられます。
 焦点距離が9mmということもあって、実視野能は594と特段広くはありません。Fの明るい小口径・短焦点で、星雲星団を拡大気味に観察するのに向いています。特に球状星団や系外銀河、惑星状星雲に向いていると思います。
 中心像から周辺に至るまで、破綻なく気持ち良くクリアな像を結んでくれるアイピースで、価格を考えると大変良い性能です。この比較記事の中では評価対象にしていない歪曲ですが、このアイピースは歪曲がさほど大きくはないのは美点の一つです。
 強いて難を言うと、アイポイントの位置にやや厳しさがあるようで、覗き方によっては視野が削れてしまうことがありました。
 これ自体さほど高額でなく入手できるエコノミーアイピースですが、品質は値段以上と思えるお買い得アイピースで、エコノミーアイピースの大関級です。このシリーズや同スペック品の他の焦点距離にも興味が湧くところです(同じ製品であるかどうかは分かりません)。

■ 谷光学 Er. 16mm
[fl=16mm, FOV=60°, 実視野能=960, 1.25"]
総合:★★
像:中心A,  50%視野A-, 80%視野A-, 100%視野B++
像面湾曲:A,  迷光: A

TANY Optics Er.16mm
谷光学研究所 Er. 16mm
定評のある谷光学研究所の、Er.16mmです。飛びぬけて視野が広いとか飛びぬけてシャープというわけではないのですが、視野全体にわたって良像を結んでくれる気持ちの良いアイピースです。
 迷光処理も良く、16mmとやや短めの焦点距離と相俟って背景が黒く締まっています。
 見え味は申し分ないのですが、焦点距離と実視野能の関係で、楽しめる対象のオールラウンド性ではワイドスキャンやナグラーに譲ります(星が少なく評価されているのはこのためです。像質のせいではありません。主鏡の焦点距離などによって使い勝手の評価は変わると思います。)。
 このシリーズは、Er.20mmと25mmがあり、25mmの方は実視野能が1550にも達します。1.25"アイピースとしては限界近くの実視野を得られますが、所有していません。
 本品を買ったときは4,000円くらいだったと思います。しかし本品も含め、上記シリーズは残念ながら生産終了品です。入手難易度が高く、番付外です。

■ ユニトロン WIDESCAN 13mm
[fl=13mm, FOV=84°, 実視野能=1092, 1.25"]
総合:★★★
像:中心A,  50%視野A-, 80%視野B, 100%視野B-,
像面湾曲:B+, 迷光: A-

UNITRON WIDESCAN 13mm
UNITRON WideScan 13mm
Type III と Type I
私のお気に入りで、かつて記事にした通りです。やや高めの倍率ながら大きい実視野能で、これ一本で多くの星雲星団を楽しめます。このアイピースは、SE200Nにコマコレクターを使うと普通には合焦しませんので、下記はコマコレクター無しでの評価となります。
 中心像はかなりシャープで84°の見掛け視界の半分くらいまではそれなりに良像を結び、80%程度まではなんとかギリギリ許容範囲の像を結んでくれます。最外周では主鏡のコマ収差とは別に非点収差が現れ、星像が崩れます。また、像面湾曲の影響で視野周辺部はピント位置がややずれますが、影響が非点収差の影に隠れます。
 細かいことを言い出すと完璧には遠いのですが、F5ニュートンとの組み合わせではオリオン大星雲や二重星団がちょうど視野一杯に広がり、迫力が素晴らしいです。倍率があるので球状星団なども良く見え、お気楽さと迫力とオールマイティー感がお気に入りの理由です。また、普通のプレスルのように軽くコンパクトな筐体も魅力です。type I が141g、type III は 123gでした。
 type Iとtype IIIの2本を所有していますが、見え方はほとんど同じでした(迷光処理が若干だけtype IIIの方が良い。星像は同じ)。残念ながら両者とも生産終了品ですが、ヤフオクなどで時折出品され、あまり高くない値段で取引されています。すごく安いというわけではないのですが、私のお気に入り度を加味してエコノミーアイピースの関脇に据えたいと思います。
 手元の書籍から察するに、UniversityOptics のWideScanと同一と思われます。

※プアマンズナグラー的なスペックですが、ナグラー13mm(type6)の方が収差補正がずっと行き届いていて星像は良いです。しかし、WIDESCANの方もかなり楽しめるアイピースであることに間違いはなく、軽いので経緯台の15cm反射との相性が大変良く、愛用しています。

■ ユニトロン WIDESCAN 20mm
[f=20mm, FOV=84°, 実視野能=1680, 1.25"]
総合:★★+
像:中心A-,  50%視野B+, 80%視野B, 100%視野B-
像面湾曲:B, 迷光: A-

UNITRON WIDESCAN TYPE III 13/20mm
UNITRON WIDESCAN
type III 20mm
(写真右は13mm)
こちらもお気に入りですが、どちらかというと対象の導入用途が多いです。とにかく1680という実視野能は1.25インチアイピースとしては限界級の視野をもたらし、fl=1000mmの主鏡で1.68°の実視野が得られる優れものです。これに比肩する実視野の1.25"アイピースには、他にタカハシのEr.28mmがあります。
 また大きさは1.25インチの中では大柄だと思いますが、2インチアイピースと比較すると圧倒的にコンパクト・軽量(182g)です。Nagler13mmと同じ重量なので、気軽に取り付けて眺めることが出来る広視界アイピースと言えます。
 実視野能が近いアイピースで比べると、イーソス17mmの703gや、ナグラー22mmの680gといった超重量級2"アイピースになってしまいますから、こちらのWS20はお手軽感が素晴らしい広角アイピースだと言えます。
 ただ、こちらも、SE200Nとコマコレクターの組み合わせでは普通には合焦しません。

 像質は13mmと概ね似ていますが、実視野が広い分だけ周辺像が厳しくなってきています(これは鏡筒側の問題もあります)。像面湾曲の影響も大きくなり、中心と周辺とで合焦位置がややズレるようです。M33/M8などの大きく淡めの系外銀河/参考星雲や、広がり気味の散開星団に向けによく使っています。
 手元の書籍から察するに、UniversityOpticsの製品と同一と思われます。なお、視野側のレンズ面に焦点が合うようで、レンズについたゴミが良く見えてしまいます。
 残念ながら生産終了品です。入手難易度が高く、番付外です。

■ SvBONY Aspheric 23mm
[f=23mm, FOV=62°, 実視野能=1426, 1.25"]
総合:★★++
像:中心A-,  50%視野B+, 80%視野B+, 100%視野B
像面湾曲:A-, 迷光:B-
SVBONY Aspheric 23mm
SvBONY Aspheric 23mm

 実視野能の大きさがワイドスキャン20mmに次ぐ1426で、1.25"アイピースとしてはかなり広い実視野を実現したプラスチック非球面レンズ採用のアイピースです。1.25"アイピースとしてはナグラーやイーソスよりも広い実視界が確保できているという点は強調しておくべき美点です。
 中心像は合格点とはいえわずかに収差が残る感じを受ける星像ではあるのですが、周辺まで大きな破綻はないのが素晴らしいアイピースで、この点はエルフレに似ています。
 像質は「シャープだが非点収差による像の崩れがある」という独特な感じで、「全体的に均整の取れた像で甘くなる」感じのエルフレとはやや違っています。ここは好みの分かれるところです。
 迷光処理はやや雑で背景の漆黒感は足りず、視野環外側に内筒が見えます。艶ありのプラスチック製絞り環がよろしくありません。ここがもう少し良ければ・・・と思います。
 また、重量が 44g と極めて軽いのは特筆すべき点です。レジェンド的軽量アイピースのSR4の14g(!) と併せて、架台や接眼部に不安が残る入門機のアイピースとして特にお勧めできます。対象導入用としても、星雲星団観望用としても十分な実力を備えていて大変実用的で良く見えます。
 現在も新品で購入可能で、価格が900~1,500円程度と驚きの低価格です。そのコストパフォーマンスについては既に記事にした通りエコノミーアイピースの西の横綱と言えます(東の横綱はSR4です)。
 私は WIDESCAN 20mmを所有しているので広視界用途にそれを用いることが多く、このSvBONY 23mmは主にガイド鏡の視野確認用に使用していますが、ガイド鏡を通しても割と良い像を結んでくれています。もちろんメインアイピースとしても十分に通用する実力です。

■ 笠井トレーディング SWA26mm
[f=26mm, FOV=70°, 実視野能=1820, 2"]
総合:★★+
像:中心A,  50%視野A-, 80%視野A-, 100%視野B+
像面湾曲:A-, 迷光: A-
SWA 26mm
笠井トレーディング
SWA26mm
視野の半分以上はなかなか良好な星像が得られ、周辺でも破綻はしません。全体的にシャープで気持ちのいいアイピースです。特に、コマコレクターとの相性は良いように思えますが、コマコレクターがなくても良像を結び、像面湾曲の小ささがうかがえます。迷光処理も適切で、対象を低倍率で楽しみたいときに有効なアイピースと言えます。
 2インチアイピースの視野の広さを生かした実視野能1820のアイピースです。この視野は1.25"アイピースでは得られません。
 難点は2"アイピースで重たいというところではありますが、これは仕方ありません。284gと健闘はしています。
 決して激安ではありませんが非常に高価というわけでもなく、コストパフォーマンスは悪くないと思います。エコノミーアイピースとしては小結に推したいところです。
 ちなみに、全く同じデザインとスペックのアイピースが、ほかに Agena SWAやSVBONY SV154 (SWA26mm)として存在しています。これらは天虎光学(SkyRover)による製品と思われます。

■ 中華 UW80° F30mm
[f=30mm, FOV=80°, 実視野能=2400, 2"]
像:中心A-,  50%視野B+, 80%視野B, 100%視野B-,
像面湾曲:B, 迷光: B+
総合:★++
UW 80deg. F30mm
UW80° F30mm
 University OpticsやOlivion、Agenaのものと同じスペックと外観のものです。入手したのはブランド不明の中華製です。
 この30mm×80度がもたらす実視野能2400は2インチアイピースの中でもかなり視界が広い部類です。また重量は490gですから、SWA26mmよりもだいぶ重たい大型アイピースです。鏡筒の向きによってはクレイフォード接眼部が滑ってしまうこともあります。
 確かに視野は広く中心像はそこそこで、20cm/F5ニュートン(+コマコレクター)との組み合わせでは周辺像もギリギリといったところです。ただし、像面湾曲による視野周辺部と中央でピント位置のズレがや、非点収差が認められます。実視野が広いので目立ってしまうのはやむを得ないところと思われます。
 コマコレクターがあれば視野全体を楽しめるアイピースですが、試しにコマコレクターを外してみると、視野全体が楽しめなくなる程度の周辺像の崩れ方となってしまいます。アイピース自身の像面湾曲が強めのように思われます。
 M31、33用と思って入手したのですが、鏡筒を選ぶ(主鏡の像面湾曲が小さければ良い)製品かもしれません。
 価格は高くありませんでしたがエコノミーアイピースとしては前頭筆頭級で、最近は安価での入手がやや難しい感じがします。決して悪いアイピースではありませんが、三役にはもう一息というところです。

■ 賞月観星 UWA 16mm (2019.10.6追記, 元記事はこちら)
[f=16mm, FOV=82°, 実視野能1312, 1.25"]
像:中心A+, 50%視野A, 80%視野A-, 100%視野B+
像面湾曲:A--,  迷光: A
総合:★★★-
 焦点距離16mmで実視野能1312を確保する広角アイピースで、見た目はナグラー13mmより大きいのですが、重量は167gと軽めになっていて気楽に使えるアイピースです。11,200円にてゲットです(2019)。
賞月観星 UWA 16mm
賞月観星 UWA16mm
 「Nagler type6 の見え味を再現すること」を開発目標にしたという見え味はなかなか素晴らしく、決してB級ではありません。82度という広い視野にもかかわらず非点収差的な星像の崩れがよく抑えられており、視野のかなりの部分までそこそこ良像を結びます。このあたりは、非点収差が目立つWIDESCAN と比較すると格段に良いと言えます。
 焦点位置も内側に過ぎることもなく、コマコレクターをつけても純正のアダプタで合焦しました。迷光処理も良くできており、中倍率での背景の黒さが良く引き締まる見え味で、この点でもWIDESCANを上回ります。
 ただし、ナグラーとの比較では像面湾曲がNaglerほど小さくないです。このため、中央にピントを合わせると視野周辺ではややボケが生じます。この傾向は、コマコレクターを外すと更に顕著になりました(ただしWIDESCANと比較すると数段良好です)。
 このUWA16mmの像面湾曲は、もう少しFが大きい屈折望遠鏡では目立たない可能性が大です。
 そういうわけで、UWA16mmの見え味は Naglerとイコールではないものの十二分に良く見えるレベルで、価格は Naglerの1/4ほどで、コストパフォーマンスは素晴らしいものがあります。価格はエコノミーアイピースとしてはやや高めであることを勘案しても大関級でありましたが、価格改定でカド番だったところに格安版UF18mmの登場で大関陥落となり、関脇となりました。2021年現在、新品で14,800円のプライスタグです。

■ SVBONY Ultra Flat (UF) 18mm (2021.8.29追記, 元記事はこちら)
[fl=18mm, FOV=62°, 実視野能=1116, 1.25"]
総合:★★★
像:中心A,  50%視野A, 80%視野A-, 100%視野A--
像面湾曲:A+,  迷光: A
 1.25インチのアイピースとしては重量209gとやや大型ですが、素直な像質と丁寧な迷光対策による締まったバックグラウンドで、広角アイピースとして大変使いやすいアイピースです。ゴム見口を外すと 42mmP0.75のいわゆるT2ネジが切ってあり、カメラを取り付けることもできるようになっています。

SVBONY UF 18mm
SVBONY UF 18mm
 像質の特長は、像面が大変フラットなことです。コマコレクターとの組み合わせでは中央と最周辺の双方でピント位置のズレが少なく、満足できる良像を結びます。コマコレクター無しでは主鏡の像面湾曲が見える形となりますが、UWA16mmよりも視野中央と周辺でのピントのズレ量が少なくなっており、その分像の崩れも少なくなっています。
 像質自体は大変素直ですが、最周辺ではやや非点収差が現れるようです。ただしその大きさは小さく、像面湾曲の小ささによって周辺像は保たれ、Widescanなどと比較すると数段良好です。一方で、Naglerのようなコマコレ能力は内包されてはおらず、コマコレクター無しで見えるコマ収差自体はUWAと同レベルです。7.6cm F4に取り付けた場合では、最周辺でのコマの長さはUWAと同程度ながらも芯の集光が強く、UWAよりもサブスコープ用途に適していました。(どういうわけか、UWA16mmと実視野がほぼ同じくらいに見えました)
 エコノミーアイピースとして同じSVBONY社の横綱Asphericとの比較も気になるところですが、星像や迷光の観点だけから言えばUF18mmの方が確実に勝ります。一方で、価格はAspheric23mmよりも随分高めの設定ではあり、ここは星像を求めるか、プライスや軽量さを求めるかによって評価は変るところと思われます。
 なお、このアイピースはUWA 16mmやSWA26mmと同様に天虎光学(Sky Rover)社によるものと思われます

[参考] Nagler type6 13mm
[f=13mm, FOV=82°, 実視野能1066, 1.25"]
像:中心A+, 50%視野A+, 80%視野A, 100%視野A
像面湾曲:S,  迷光: A+
総合:(★★★★)参考
TeleVue Nagler type6 13mm
TeleVue
Nagler type6 13mm
 Nagler 13mmの後期型(=type6)です。初期型Nagler 13mmと比べて大幅にコンパクトになっていて、なおかつ光学系がアイピースの球面収差によるインゲン豆効果を抑制した設計に変更されたとされているものです。
 サイズ的には ワイドスキャン(WS)13mmよりも一回り大きく、WS20mmと同程度の大きさ(ナグラー13mmの方が径がやや大きく、長さは短い)です。重量は182gと、WS20mmと同じでした。13mmのアイピースとしてはずっしり重い感じです。
 星像はさすがで、これは決してB級アイピースではありません(あたりまえだ)。
 ワイドスキャン13mm との決定的な差は、周辺像です。中心像も、ワイドスキャンや他のアイピースと比べてもシャープな像だということが確認できますが、コマコレクターを使ったニュートン反射の周辺では、像面湾曲によるピントズレや非点収差を感じず、周辺までシャープな像を結び、これは特筆すべき点です。
 ちなみに、コマコレクターを外しても短焦点ニュートン反射での像面湾曲の影響が見られず、コマ収差もかなり補正されています。このことは、他のアイピースに対しての大きなアドバンテージと言えます(アル・ナグラー氏は短焦点反射を意識して設計したようです)。
 直線歪曲が大きいとも言われますが、テレビュー社は直線歪曲を補正する考え方を持っておらず、角倍率歪曲の補正をしっかり行っているとのことです(両者を同時に補正することはできません)。星雲・星団を始めとする天体観察では、視野全体で倍率一定が保たれる角倍率歪曲補正が重要であるというポリシーによるものです。
 また、迷光防止も一味以上違っていて、背景の締まった像は星雲を引き立ててくれます。値段を考えなければ素晴らしいアイピースです。当然エコノミーアイピースとしては番付外です。

________
(余談) そのほかのアイピース達
…長くなったのでまた別の機会としたいと思いますが、掘り起こしてみたアイピースや集まってきてしまったアイピースなどがあります。
 ラインナップの一つは「いにしえの長焦点アイピース」で、AH-40mm、三鷹PL-35mm、Or-25mm、K-25mm、K-20mmの5本です。これらの「エイシェント」とも呼べるようなやや古典的な長焦点アイピースがどのような実力なのか、どこかで比較レポートをしてみたいと思います。(→この記事はこちら

次の選手(?)たち
ラムスデンの記事はこちら
また、高倍率アイピースですが、いくつか新しく入手したものがありますので、そちらも比較レポートを検討中です。こちらは 3B SR-4mm、Eikow SR-5mm、谷光学 K-6mm、Datyson PL6.3mm(3群5枚とされる旧品) というラインナップで、更にセレストロン PL-3.6mmと現行のDatyson PL6.3mmを注文中です(間に合うかどうかは不明)。
(→関連記事はこちら
 中国Datysonの旧品プレスルは望遠馬鹿様より貸与いただいたもので、視野レンズの視野側がかなり強めの凸になっている通常のプレスルではない、色々な意味で大変興味をそそるアイピースです。(→関連記事はこちら

--- 参考記事
アイピース関連記事の検索はこちら

コメント

匿名 さんのコメント…
こんにちは。

UW20㎜持ってます。5倍エクステンダーと組み合わせて20センチF5反射で
250倍で使ってました。たしかボーグの中古だったはずです。悪くないです。

ワイドスキャン13㎜は、0.5倍のアイピースレデューサで26㎜の超広角を
超低コストで実現しようとしましたが、内ピンすぎて合焦しません。
合焦しても<視野絞り径による実視界制約の法則>により広い視野は無理だった
でしょう。

ならばと、4cmジャンク双眼鏡の対物を使って2インチのレデューサを作った
ですが、なんか魚眼レンズよりひどい周囲の回転したような像になってしまいました。F2.5は無茶だった? ポエム脳がズルイこと考えてもダメでしたw

普通に13㎜のまま使えばよかったんですね。

アスフェリック23㎜は、悪くないけど視野中央でも目の位置をずらすと星が
尾を引く角度が変化します。(このシリーズはあたりはずれがひどいらしいです。
いいのに当たればラッキー。SVBONYで買えば不良品は交換してくれます)

Datyson PL6.3mm(3群5枚 アヤシーオク品に、ついに評価ががが。


Lambda さんの投稿…
望遠馬鹿さん、コメントありがとうございます!
また、PL6.3のお貸出しに感謝です。

>UW20㎜持ってます

やはり、このシリーズ、侮れなそうですね。
このUW9も、M13を眺めたときに,星の分解の様子になかなか素晴らしい実力を感じました。長焦点アイピースとバーローの併用というのは、けっこういい像が得られるケースが多いようですね。

WS13が内ピン気味なのはちょっとマイナスポイントですね。
(私は観望時はコマコレを使わないことが多いので問題ないと言えばそうなのですが)

Aspheric23mmは2本所有していますが、いまのところハズレ品には当たらずに済んでいます。アイレンズが大きいのに見口にアイカップがないので、覗く位置が固定されにくいのもあるかもしれません。

そして Datyson PL6.3。これは謎ですね。
かつて、「スーパーPlossl」的な位置づけで3群5枚のマスヤマ的構成のアイピースが各社から出ていたようなのですが、該当する6.3mmのスペックのものがありません。
まさか、中華メーカー独自設計ということもないとは思うのですが…。

いずれにしても、確認してみたいと思います。
シベット さんの投稿…
素晴らしいレポートありがとうございます。
挙げておられるアイピースの3/4は当方も所有しておりますが、ほぼ同感で、本当にいろいろな天体の姿を見せてもらいました。

付け加えるなら、笠井のEWV16mm&10mm(絶版)が視野、像質ともワイドスキャンと同等であるのですが、パックフォーカスが短くても合焦し、鏡筒の使用範囲が広いという理由で長らく愛用しておりました。

・・・・過去形になってしまったのは、賞月観星のUWA16mmを入手して、コストパフォーマンスの物差しが一挙に更新されてしまったからです。ナグラーに限りなく近い性能であの価格は本当に「異常事態」で、個人的にはUWA一択、と表明せざるを得ない現状です。
ポコポコ さんのコメント…
こんにちは、わたしも、WIDESCAN 16㎜を双眼装置で愛用しています。
F値が極端に明るい屈折などで、像面湾曲で周辺がピンボケになるのが惜しいと感じますが、気に入っています。
あとは、ハイペリオン24㎜もあるのですが、対物側レンズに付いたゴミが目立つ設計なのが気になり、使用頻度が低いです。
他にミードのUWAもあります。輝星の対面にゴーストが出ますが、結構気に入っています。

ということで、個人的には、新しいアイピースを導入する時には、ゴミが目立つか?ゴーストがでるか?も気にしています。
今回ご利用のもので、これらの点が問題になるものは、ありましたでしょうか?(WIDESCAN 20mmは視野側のゴミが目立つようですね)
特に、超安価なAspheric 23mmを双眼装置にどうかな?と迷っております。
Lambda さんの投稿…
シベットさん、コメントありがとうございます!

さすがに色々なアイピースをお持ちですね。
笠井のEWV、似たスペックなのですね。
この80°超級の13mm超で31.7mmスリーブって、意外と希少のようです。合焦範囲が広いものは、なおのことですね。

そういう意味で、賞月観星のUWAは私も気になっていました。
16mmということで実視野能1312。ナグラーに近い星像とのことであれば、まさに脅威ですね。とても興味が湧いてきました。
ここまで来ると13mmのXWAとも迷うところではありますが、重量とお手軽感を考えるとUWAは非常に魅力的ですね。(欲しいと思ったのですが、売り切れ中…。納得です)
Lambda さんの投稿…
ポコポコさん,コメントありがとうございます!

そう、WIDESCANは像面湾曲が気になるところですね。特に、実視野が大きい長焦点のやつほどその傾向があるようです。

今回のものでは、ゴーストが特別気になったことはありませんでしたが、これは輝星で十分試してないからかもしれません。少なくとも、使用頻度の高いWS13、20、Aspheric23ではゴーストが出るという印象はありません。

 視野側のゴミは、たまたま付着していたWS20が気になりましたが、他のものは分かりません。 Aspheric 23mmはレンズから2~4mm程度離れたところに焦点面があるようですが、ややレンズに近いので、何か付着すれば見えてしまうかもしれません。
 双眼に使うには、覗く角度によって視野環の向こう側にスリーブが見えてしまうので、ここを許容するかどうか、というところかもしれません。
匿名 さんのコメント…
追加情報を少々・・・

●Ultra Wideシリーズ、ご存知かもしれませんが僕が最初これを知ったのは
スコープタウンのHPでした。
https://scopetown.co.jp/SHOP/108375/list.html
だいぶ前に終売しましたが、販売中はたしか全ラインナップの内部構造
図が載せられていました。6、9㎜はスマイス入り。

●アスフェリックは、僕が買ったときは一応セレストロン製というふれ
こみでした。そう、あの驚異のSRと同じです。

●そのアスフェリックシリーズをヤフオクで取り扱い、いろいろ解説し
ている、
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k409619741
人から買ったのが、アヤシー5枚玉PL6.5㎜なのです。

当時の解説のキャプチャはみつかりませんでしたが、たしか記憶では
何かの精密測定機械用の非球面レンズを転用している、と言っていた
ような気がします。

最近は、顕微鏡用アイピースの天体用の流用の有効性について力説され、
販売しています。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f370006568

まあ過去にスコープタウンのPLを谷オルソと言って売ったとかで
イザコザがあったみたいですが(整像という意味ではORが発明され
る前はKがオルソ=整像だったらしいし、PLもオルソで間違いない
のですが・・・谷オルソといえばアッベ式があたりまえなので、)

晴れませんね・・・・・。
Lambda さんの投稿…
追加情報、ありがとうございます!

Ultra Wideシリーズは、けっこう色々なOEMで売られているようですね。内部構成図はちょっと見て見たかったな…。スコープタウン扱いでしたか。

Asphericはタレコミがあって、製造は舜宇光電という中国の会社で製造しているものであるようです。この会社の親会社は舜宇光学といって、キヤノンやニコン向けの光学製品を卸していたりするところのようです。
また、この会社はミードの製品の製造元でもあったりするとのことですから、ミード販売の元締めがセレストロンと同源の今となっては、様々なブランドで売られることはあるのだと思います。

ヤフオクで解説されている方は、光学測定機器屋さんなのかどうかは分かりませんが、評価の重みが「歪曲」に振られている傾向があるなと思っています。顕微鏡などでは確かにそれが全てという部分があるのですが、果たして天体望遠鏡用として重視される性能がそれだっけか?というところはやや疑問です。
また、歪曲と像面湾曲を混同されている記述も見られますので、ちょっとそのあたりはクエスチョンです。

顕微鏡用アイピースは、像面湾曲と歪曲の両方で優れるように設計されてる場合が多いのではないかと思います。顕微鏡対物レンズの像面湾曲は幾何学的にきつくなりがちなので、アイピースまで湾曲していると視野周辺にピントが全く合わなくなるからです。
そういう意味で、「整像性」や「フラット」を求めていくと顕微鏡用アイピースは良いチョイスになるんじゃないかと思います。

さて、問題の Datyson PL6.3mmですが、実は既に覗いてみました ^^;。
そして記事にする前に、もう少しこのレンズについて調べてみようと思いまして、現在売られている PL6.3mmを購入してしまいました。
実は・・・、本日それが届いて、先ほど分解してみたところです。
確かに3群5枚でありました。続きは…頑張って記事にしてみます。
匿名 さんのコメント…
国際光器で売っていたワイドスキャンⅢはユニトロンから権利を買い取って作っているとグーリーさんが言っていました。
MADE IN JAPANのシールが張られていました。
ユニトロンブランドのタイプⅠは全面青緑のマルチコートですがタイプⅢの13、16、20mmは最外面のみマルチコートで内部はモノコートのようですが新旧で視野のヌケはどうでしょうか。
Lambda さんの投稿…
コメントありがとうございます!

WIDESCAN の初期型(TYPE I)と TYPE IIIには、そのような経緯があったのですね。
コーティングについては、ご指摘のように TYPE Iが青緑色のコートで、TYPE III は見えるところはアンバー色系(?)のマルチコートのようでした。また、TYPE III には「JAPAN」のシールが貼られています。

見え方については気になったので、つい今しがた確認して来ました。
WIDESCAN 13mm の TYPE I / III です。
比較に使ったのは市街地からだと淡くしか見えない M1 と、その周辺の微光星です。
まず、星像は TYPE I と III で全く差がないと言って差し支えないかと思います。
収差の出方やシャープネスの差は、私には全く分かりませんでした。


M1の見え方そのものは、正直なところ、差が分かりませんでした。
市街地からですと、光量が全体的に上がっても下がっても背景も一緒に上下するので、差が分からないのだと思われます。

微光星で比較してみますと、見えている微光星の数や見え方もほとんど差はないのですが、バックグラウンドが TYPE IIIの方がやや暗く、若干見易いという印象です。

これがコーティングの差なのかどうかは、鏡胴の作り方などの影響もあるので、正直わかりません。
明らかな差はないと言っても差し支えないのではないかと思いました。
匿名 さんのコメント…
ワイドスキャン20mmはバレルとそれを付けているリングネジを外すとかなり視野が広くなります。当方の場合、ホームセンターで塩ビ菅のユニオン継手を買ってきて2個付いている部品を加工(旋盤など持っていないのでヤスリで内外共削って2インチ)して使っています。
16mmと13mもその方法でバレルを(外さず)2インチ化して使っています。
Lambda さんの投稿…
コメントありがとうございます!

ワイドスキャン20mmは、確かに絞り環が鏡胴と共用になっているような作りかと思います。
なるほど、塩ビ管の継ぎ手からの削り出しで2インチ化するのは一つの手ですね。

WIDESCANシリーズはどれも像面湾曲がややきつめなので、Fの明るい対物では周辺像がアレ気味となってしまいますが、特に屈折望遠鏡などでは広視界を得られるアイピースとして重宝しそうです。

私は主に「小口径ファインダー用途」にしようとして周辺像が気になってしまったのですが、メイン用の広視界アイピースとして2インチ化するのはアリかもしれません。

貴重なご経験をお寄せいただき、ありがとうございます。
A さんの投稿…
追記
ワイドスキャン20mmは差し込み位置から焦点位置が離れていますので、ドロチューブをかなり引き込まないと合焦しませんので使えない望遠鏡がありますが、上記の通り塩ビユニオン継手で2インチにして奥に差込めるようにすると合焦する望遠鏡が増えます。
Lambda さんの投稿…
Aさん、追加情報ありがとうございます!

WIDESCAN 20mmが内ピンなのはご指摘の通りです。
私の望遠鏡でも、コマコレクターをつけると合焦しません。

31.7mmへのこだわりがなければ、31.7mmバレルを取り去って2インチ化してしまうのは良い手ですね。