公式:
実視野能 = 焦点距離×見かけ視界 (:実視野戦闘力)
実視野 = 実視野能÷対物焦点距離
瞳径 = 接眼焦点距離÷対物F値
---------
星雲星団用のアイピースを物色しているときの興味の一つは、実視界をどのくらい取れるか、ということです。たとえば、40mm&52度のプレスルと31mmのナグラーで、実視界はどっちが広いの?という比較です。
アイピース単体で実視界の大小を比較する指標としては、「絞り環径」があります。同じ鏡筒を使った時に、絞り環径が大きいアイピースの方が実視界は広くなります。
モノグサな私は「焦点距離×見かけ視界」の掛け算を実視野戦闘力と称して実視界の大小を見ています。冒頭の例でいうと、 プレスルの方は40×52=2080、 31mmナグラーの方は31×82=2542 ということで、ナグラーの方が倍率は高くても視野は広いということが分かります。
なぜこんな一般的でない数字をわざわざ使うかというと、いちいち57.4で割って絞り環径にするのが面倒くさいからです。更に、この実視野戦闘力という指標の最大の利点は、この数字を対物鏡の焦点距離で割るとダイレクトに実視界の値(単位°)になるということもあります。うちの鏡筒は1000mmなので、すぐさま実視野の値も分かって便利なのであります。前出のプレスルなら2.08°なわけです。
この実視野戦闘力、いや、もうちょいマトモ風に名前をつけて"実視野能"とでも呼んだ方がいいかもしれません。計算方法は、冒頭の公式をご参照ください。
なお、様々なアイピースの戦闘力を調べて見ると、以下のような具合です。
----- 24.5mmスリーブ:
ケルナー 25mm, 42度: 1050
アクロマートハイゲンス 40mm, 30度: 1200
----- 31.7mmスリーブ:
エルフレ 16mm, 62度: 992
ナグラー 13mm, 82度: 1066
イーソス 13mm, 100度: 1300
SvBONY 23mm, 62度: 1426
ワイドスキャン 20mm, 84度: 1680
エルフレ 28mm, 58度: 1680
ファインダーアイピース 100mm, 11度: 1100(苦笑)
エルフレ32mm, 60度: 1920
---- 50.8mmスリーブ:
笠井SWA 26mm, 70度: 1820
プレスル 40mm, 52度: 2080
イーソス 21mm, 100度: 2100
笠井SWA 32mm, 70度: 2240
SvBONY 30mm, 80度: 2400
SvBONY 34mm, 72度: 2448
ワイドスキャン 30mm, 84度: 2520
ナグラー 31mm, 82度: 2542
テレビュープレスル 55mm, 50度: 2750
ラベンデュラ 63mm, 45度:2835
こうして並べてみると、エルフレ 28mmやワイドスキャン20mmが31.7mmアイピースとして稀有な存在だということが分かります。1680という戦闘力は絞環径に直すと29.2mmですから、31.7mmアイピースとしてはここがほぼ限界値です。
また、プレスル55mmやラベンデュラ63mmが、見掛け視界はさほどでなくとも2インチアイピースとして広大な視界を確保していることが分かります。もっとも、63mmともなると瞳径7mm以下にするにはF9以上の長い鏡筒が要る話にはなります。そういう意味で、ナグラー31mmはF5でも 31÷5 = 6.2mm の瞳径というわけで、実用的な範囲で広視界を確保してると言えます。ここで、もしイーソス28mmというのが出現したら戦闘力2800ですから、非常に強力なアイピースになりそうです。
一方で、焦点距離が100mmにもなるビクセンのファインダーアイピースですが、戦闘力は1100で実視野は全然広くありません。サイバイマン以下です。むしろSvBONY23mmや24.5mm径のAH-40mmの方が広い視界を確保できるというお話です。
このように実視野能(実視野戦闘力)を計算すると、アイピースの広視界確保能力が簡単に分かる、というお話でありました。(もちろんこの実視野能を57.4で割れば絞り環径になって、スリーブに対してどのくらいの径になっているかも分かるようになります。)
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実視野能 = 焦点距離×見かけ視界 (:実視野戦闘力)
実視野 = 実視野能÷対物焦点距離
瞳径 = 接眼焦点距離÷対物F値
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星雲星団用のアイピースを物色しているときの興味の一つは、実視界をどのくらい取れるか、ということです。たとえば、40mm&52度のプレスルと31mmのナグラーで、実視界はどっちが広いの?という比較です。
アイピース単体で実視界の大小を比較する指標としては、「絞り環径」があります。同じ鏡筒を使った時に、絞り環径が大きいアイピースの方が実視界は広くなります。
モノグサな私は「焦点距離×見かけ視界」の掛け算を実視野戦闘力と称して実視界の大小を見ています。冒頭の例でいうと、 プレスルの方は40×52=2080、 31mmナグラーの方は31×82=2542 ということで、ナグラーの方が倍率は高くても視野は広いということが分かります。
なぜこんな一般的でない数字をわざわざ使うかというと、いちいち57.4で割って絞り環径にするのが面倒くさいからです。更に、この実視野戦闘力という指標の最大の利点は、この数字を対物鏡の焦点距離で割るとダイレクトに実視界の値(単位°)になるということもあります。うちの鏡筒は1000mmなので、すぐさま実視野の値も分かって便利なのであります。前出のプレスルなら2.08°なわけです。
この実視野戦闘力、いや、もうちょいマトモ風に名前をつけて"実視野能"とでも呼んだ方がいいかもしれません。計算方法は、冒頭の公式をご参照ください。
なお、様々なアイピースの戦闘力を調べて見ると、以下のような具合です。
----- 24.5mmスリーブ:
ケルナー 25mm, 42度: 1050
アクロマートハイゲンス 40mm, 30度: 1200
----- 31.7mmスリーブ:
エルフレ 16mm, 62度: 992
ナグラー 13mm, 82度: 1066
イーソス 13mm, 100度: 1300
SvBONY 23mm, 62度: 1426
ワイドスキャン 20mm, 84度: 1680
エルフレ 28mm, 58度: 1680
ファインダーアイピース 100mm, 11度: 1100(苦笑)
---- 36.4mmねじ込み:
ケルナー40mm, 40度: 1600エルフレ32mm, 60度: 1920
---- 50.8mmスリーブ:
笠井SWA 26mm, 70度: 1820
プレスル 40mm, 52度: 2080
イーソス 21mm, 100度: 2100
笠井SWA 32mm, 70度: 2240
SvBONY 30mm, 80度: 2400
SvBONY 34mm, 72度: 2448
ワイドスキャン 30mm, 84度: 2520
ナグラー 31mm, 82度: 2542
テレビュープレスル 55mm, 50度: 2750
ラベンデュラ 63mm, 45度:2835
こうして並べてみると、エルフレ 28mmやワイドスキャン20mmが31.7mmアイピースとして稀有な存在だということが分かります。1680という戦闘力は絞環径に直すと29.2mmですから、31.7mmアイピースとしてはここがほぼ限界値です。
また、プレスル55mmやラベンデュラ63mmが、見掛け視界はさほどでなくとも2インチアイピースとして広大な視界を確保していることが分かります。もっとも、63mmともなると瞳径7mm以下にするにはF9以上の長い鏡筒が要る話にはなります。そういう意味で、ナグラー31mmはF5でも 31÷5 = 6.2mm の瞳径というわけで、実用的な範囲で広視界を確保してると言えます。ここで、もしイーソス28mmというのが出現したら戦闘力2800ですから、非常に強力なアイピースになりそうです。
一方で、焦点距離が100mmにもなるビクセンのファインダーアイピースですが、戦闘力は1100で実視野は全然広くありません。サイバイマン以下です。むしろSvBONY23mmや24.5mm径のAH-40mmの方が広い視界を確保できるというお話です。
このように実視野能(実視野戦闘力)を計算すると、アイピースの広視界確保能力が簡単に分かる、というお話でありました。(もちろんこの実視野能を57.4で割れば絞り環径になって、スリーブに対してどのくらいの径になっているかも分かるようになります。)
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