エコノミー機材⑪ SVBONY UF18mm アイピース (SV190)

久々のエコノミーアイピース、SVBONY SV190「UF 18mm」をテストしてみました。こちらは天虎光学(SkyRover)製造でAPMや賞月観星ほか様々なブランドで販売されているものと同じアイピースと思われ、"Ultra Flat Field(超平坦)" がウリです。

 結論から申し上げるとこの UF18mmはなかなか優れたアイピースで、特に高性能が求められるニュートン反射ファインダー用アイピースは、UWA16mmからこのUF18mmに選手交代となりました。SVBONY UF18mmは価格も2021年現在のAmazon価格で 7,580円と、激安とは言えないまでもスペックから考えればエコノミーと言えるのではないかと思います。エコノミーアイピースの大関に据えて良い内容です。

 ちなみにSV190シリーズには UF10mmもラインナップされており、こちらは2021年現在のAmazon価格で4,580円となっています。

SVBONY SV190 Ultra Flat Field 18mm
SVBONY SV190 Ultra Flat Field 18mm
高級感漂う外観です

■ ニュートン反射ファインダーの憂鬱
 実はファインダーをニュートン反射にしてから、ずっとそのアイピースのベスト解を探っていました。F4級のニュートン反射では周辺像の荒れが目立ってきてしまったのです。当初はSVBONYのAspheric23mmで満足していて、導入用にはそれで満足でした。
 しかし 7.6cmのファインダーは「サブスコープ」としても機能してくれるわけで、そうなると人間の欲望というのは際限なく、覗いた視野の迫力や美しさを求めてしまうのです。低倍率のファインダーで淡く小さく見える「入門本に表現されてるような」星雲星団を、すぐ隣の主鏡のアイピースで拡大するのはなんとも楽しい観望スタイルです。

Raymay RXA-100 + UF18mm
ファインダー兼サブスコープの 7.6cm F4反射
 ファインダー用としてはしばらく賞月観星のUWA16mmで満足していたのですが、ある日これを Nagler 13mmに差し替えてみて考えが変わります。
 NEWTONYやRXA100のような小口径F4のニュートン反射で著しくなるコマ収差が、ナグラーでは目立たないのです。同時に、短焦点での像面湾曲が無視できないということに気づいてしまうわけです。Nagler13mmでは感じない中心と周辺でのピントのズレが、UWAでは見えてしまうのです。
 UWA16mmもフラットナー内蔵という触れ込みなのですが、7.6cm F4(300mm)の像面湾曲を是正するには至らないようです。このくらいの短焦点とUWAとの組み合わせでは視野中心と外周とでピント位置のズレが0.3~0.5mm近くあります(実際にそのくらい動かすとピントが合う)。そしてこの像面湾曲のせいでファインダーとして使っている時に「オヤ、視野の端に星雲状のものがあるゾ」と思って視野中央に持ってくると恒星だった、ということがしばしばで興が削がれるというわけです。

 それが、このUF18mmではいくばくか軽減されるというのが、UWA16mmとの選手交代の背景です。また、見掛視界はやや小さめのほうがどこが中心かが分かりやすく、ファインダーとして適していたということもあります。
 そういうわけで、UF18mmは主砲の20cmでもテストしてみたのでした。

 評価は、20cm F5ニュートンにコマコレをつけた状態を基準として評価していますが、コマコレなしや7.6cm F4反射や 9cm F10アクロマートでも覗いてみています。今回の評価では、スペックの近い UWA 16mm、Nagler 13mm、Widescan 13mm/20mm、SVBONY Aspheric23mmと見比べながらテストを行ってみました。
 例によって評価結果はあくまでも私の主観を述べたポエムですので、鏡筒との相性や人間の眼の個人差を吟味し尽くした結果ではないことを申し添えておきます。

 インプレはこちらです↓ また、このクラスの広角アイピースの評価はこちらにまとめてあります。(下記インプレも加えました)

■ SVBONY Ultra Flat (UF) 18mm
[fl=18mm, FOV=62°, 実視野能=1116, 1.25"]
総合:★★★
像:中心A,  50%視野A, 80%視野A-, 100%視野A--
像面湾曲:A+,  迷光: A
 1.25インチのアイピースとしては重量209gとやや大型ですが、素直な像質と丁寧な迷光対策による締まったバックグラウンドで、広角アイピースとして大変使いやすいアイピースです。ゴム見口を外すと 42mmP0.75のいわゆるT2ネジが切ってあり、カメラを取り付けることもできるようになっています。

SVBONY UF 18mm
SVBONY UF 18mm
 像質の特長は、像面が大変フラットなことです。コマコレクターとの組み合わせでは中央と最周辺の双方でピント位置のズレが少なく、満足できる良像を結びます。コマコレクター無しでは主鏡の像面湾曲が見える形となりますが、UWA16mmよりも視野中央と周辺でのピントのズレ量が少なくなっており、その分像の崩れも少なくなっています。
 像質自体は大変素直ですが、最周辺ではやや非点収差が現れるようです。ただしその大きさは小さく、像面湾曲の小ささによって周辺像は保たれ、Widescanなどと比較すると数段良好です。一方で、Naglerのようなコマコレ能力は内包されてはおらず、コマコレクター無しで見えるコマ収差自体はUWAと同レベルです。7.6cm F4に取り付けた場合では、最周辺でのコマの長さはUWAと同程度ながらも芯の集光が強く、UWAよりもサブスコープ用途に適していました。(どういうわけか、UWA16mmと実視野がほぼ同じくらいに見えました)
 エコノミーアイピースとして同じSVBONY社の横綱Asphericとの比較も気になるところですが、星像や迷光の観点だけから言えばUF18mmの方が確実に勝ります。一方で、価格はAspheric23mmよりも随分高めの設定ではあり、ここは星像を求めるか、プライスや軽量さを求めるかによって評価は変るところと思われます。
 なお、このアイピースはUWA 16mmやSWA26mmと同様に天虎光学(Sky Rover)社によるものと思われます。
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こうした優秀なアイピースが手頃な価格で手に入るようになった時代に感謝です。


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