とにかくレンジでチンすら面倒臭いモノグサ太郎のワタクシなりの対応策です。今回の対策は夜露もそうですが、光学部品の保管にも応用が利く話かなあと思います。
望遠鏡の夜露対策といえば、これまで三段構えの対策のうち一ノ段だけご紹介している状況で、"ヲイ、二ノ段はどうしたんだよ ゴラァ!" とお叱りを受けそうではありますが、実は一ノ段の対策後には深刻な夜露に見舞われるシーンがなく、二ノ段は怠惰なスローペースで個人的な興味だけで製作が進行しております。
で、製作に若干の面倒が伴う二ノ段の前に、お手軽に対策に繋がりそうな三ノ段のご紹介です。
課題は、シリカゲルの「レンジでチン」再生です。不織布などの容器に入れて粒がまとまったままだと蒸発させた水が再び吸着されてしまって短時間加熱では元の能力には戻らないので、これを気にしてツブツブパラパラで皿に広げてレンジに入れるのですが、シリカゲルは元気よく跳ね回ってくれてとてもウザいというのが課題認識です。
もちろん、シリカゲルが元の能力には戻らなくても実用上問題ない、という割り切りはアリで、最大能力でなくとも効果の発揮は可能です。
しかしどうせそんな状態で使うのであれば、別の選択肢が考えられる、というのが三ノ段の出発点です。
■ モノグサのカギは「B型」
結論だけ言ってしまうと、普通のシリカゲルの代わりに"B型シリカゲル"を使うというお気楽な案が三ノ段です。これをツブツブにはせず、不織布などに納まったままの状態で使えばとても楽です。
B型の特長を一言でいうと、「自然に能力が再生する」ということです。レンジでチンする必要はなく、湿度が低い空気にさらされると自然に水分が出て行って回復するのです。
それでも気になるなら、昼間に干しておけばいいという話で、レンジと違って時間をかけて蒸散するので不織布の袋の中などでまとまっていても問題ありません。
…そう思ってモノタロウを調べてみると、B型シリカゲル、光学部品用として売ってますね(あれ、ひょっとしてこれ、常識だったらすみません)。ケンコーさん、さすが分かっていらっしゃる。このモノグサの味方な合理的な感じ、大好きです。高くないし。
そういうわけで、通常の乾燥空気システムも、乾燥剤をこのB型に替えるだけでお気楽化ができるというわけです。
■ 乾燥剤には2種類ある
常識なのかもしれませんが一応説明を加えておきますと、シリカゲルには種類があるということです。A型とB型があって、特性が違います。
A型シリカゲルは、一般によく売られているもので、青いコバルト入りインジケータ粒が入ってるやつは少なくともA型です。これはビスケットとかの長期保管に向いた乾燥剤で、とても低湿度まで持っていくことが出来るのが特長です。一方で、高湿度での吸湿量や吸湿スピードがイマイチだったり、何より再生に加熱が必要という特徴があって用途によっては短所になります。
もう一つのB型はこれとは逆で、50%以下の低湿度ではそれ以上吸湿してくれません。しかし高湿度では急速にかつ大量の湿気を吸えるという特長があるほか、前述の放っておいても放湿するという性質があります。このため、乾燥剤というより調湿剤と表現されることもあるようです。
つまりキッチリとした保管用にはとても低い湿度に達するA型が適していて、夜露みたいな高湿度対策にはB型が適しているというわけです。どうせ望遠鏡用の乾燥空気システムのように、空気がせいぜい数秒しか乾燥剤を通過しないようなシステムでは「乾燥空気」とは言っても、たとえA型を使ってもA型が得意とするような低湿度ゾーンには到達しません。それがB型なら、結局似たような湿度を得られる上、天日にでも干しておけば勝手に再生する(放置でもOK)お気楽さというわけです。
■ 保管用としてのB型
B型シリカゲルは、低湿度になると湿気を放出してしまうので、よく乾燥した状態を作り出すのには向いていません。ですが、天体観測の実際のシーンでは、夜露に濡れた望遠鏡や機材をいち早くその状態から回復させたいというシーンが多いのではないでしょうか?
多くのシーンでは、普通のA型シリカゲルも撤収直後の水滴吸収に能力を使わされてしまっていて、どうせ低湿度な乾燥にまでは行き着けなくなっているのが実態のようにも見えます。
そうしたことを色々考えると、保管にはA型とB型を両方入れるハイブリッドがいいのではないかと思います。観測後の夜露はB型に任せ、その後の低湿度でA型が作用するようになっていると、とても具合が良さそうです。B型は撮影翌日にでも干しておけば、全体としての乾燥剤メンテの心配からはかなり解放されそうです。うっかり長期間レンチンを忘れていても、高湿度になってしまう最悪状況だけは避けられそうです。
■ 二ノ段の登板はあるか
微妙なところですが、材料を買っちゃったのと、原理と効果は確認しておきたいというどうでもいい趣味的欲求はありますので、梅雨の間にでも完成させておこうかと思います。
しかしながら、一ノ段の対策で夜露の脅威はだいぶ軽減されています。プラスチック類に夜露が降りている夜でも、鏡筒を銀色シートで覆ってしまうともはや鏡筒の外側も夜露で濡れることも皆無になりました(銀色シートも濡れません)。
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ちなみに余談ですが、B型シリカゲルを超える特性のドライキーパーなるシート状の高性能乾燥剤もあります。これをカットして斜鏡金具の裏にでも貼っておけば、ひょっとしたら夜露対策は完結してしまう予感も無きにしも非ず、であります。
エアポンプ、二ノ段向けに買ったのですが、果たして本当に必要だったのかどうか…!?!?微妙です。
望遠鏡の夜露対策といえば、これまで三段構えの対策のうち一ノ段だけご紹介している状況で、"ヲイ、二ノ段はどうしたんだよ ゴラァ!" とお叱りを受けそうではありますが、実は一ノ段の対策後には深刻な夜露に見舞われるシーンがなく、二ノ段は怠惰なスローペースで個人的な興味だけで製作が進行しております。
で、製作に若干の面倒が伴う二ノ段の前に、お手軽に対策に繋がりそうな三ノ段のご紹介です。
課題は、シリカゲルの「レンジでチン」再生です。不織布などの容器に入れて粒がまとまったままだと蒸発させた水が再び吸着されてしまって短時間加熱では元の能力には戻らないので、これを気にしてツブツブパラパラで皿に広げてレンジに入れるのですが、シリカゲルは元気よく跳ね回ってくれてとてもウザいというのが課題認識です。
もちろん、シリカゲルが元の能力には戻らなくても実用上問題ない、という割り切りはアリで、最大能力でなくとも効果の発揮は可能です。
しかしどうせそんな状態で使うのであれば、別の選択肢が考えられる、というのが三ノ段の出発点です。
■ モノグサのカギは「B型」
結論だけ言ってしまうと、普通のシリカゲルの代わりに"B型シリカゲル"を使うというお気楽な案が三ノ段です。これをツブツブにはせず、不織布などに納まったままの状態で使えばとても楽です。
B型の特長を一言でいうと、「自然に能力が再生する」ということです。レンジでチンする必要はなく、湿度が低い空気にさらされると自然に水分が出て行って回復するのです。
それでも気になるなら、昼間に干しておけばいいという話で、レンジと違って時間をかけて蒸散するので不織布の袋の中などでまとまっていても問題ありません。
…そう思ってモノタロウを調べてみると、B型シリカゲル、光学部品用として売ってますね(あれ、ひょっとしてこれ、常識だったらすみません)。ケンコーさん、さすが分かっていらっしゃる。このモノグサの味方な合理的な感じ、大好きです。高くないし。
B型シリカゲル採用の強力乾燥剤 |
■ 乾燥剤には2種類ある
常識なのかもしれませんが一応説明を加えておきますと、シリカゲルには種類があるということです。A型とB型があって、特性が違います。
A型シリカゲルは、一般によく売られているもので、青いコバルト入りインジケータ粒が入ってるやつは少なくともA型です。これはビスケットとかの長期保管に向いた乾燥剤で、とても低湿度まで持っていくことが出来るのが特長です。一方で、高湿度での吸湿量や吸湿スピードがイマイチだったり、何より再生に加熱が必要という特徴があって用途によっては短所になります。
もう一つのB型はこれとは逆で、50%以下の低湿度ではそれ以上吸湿してくれません。しかし高湿度では急速にかつ大量の湿気を吸えるという特長があるほか、前述の放っておいても放湿するという性質があります。このため、乾燥剤というより調湿剤と表現されることもあるようです。
つまりキッチリとした保管用にはとても低い湿度に達するA型が適していて、夜露みたいな高湿度対策にはB型が適しているというわけです。どうせ望遠鏡用の乾燥空気システムのように、空気がせいぜい数秒しか乾燥剤を通過しないようなシステムでは「乾燥空気」とは言っても、たとえA型を使ってもA型が得意とするような低湿度ゾーンには到達しません。それがB型なら、結局似たような湿度を得られる上、天日にでも干しておけば勝手に再生する(放置でもOK)お気楽さというわけです。
■ 保管用としてのB型
B型シリカゲルは、低湿度になると湿気を放出してしまうので、よく乾燥した状態を作り出すのには向いていません。ですが、天体観測の実際のシーンでは、夜露に濡れた望遠鏡や機材をいち早くその状態から回復させたいというシーンが多いのではないでしょうか?
多くのシーンでは、普通のA型シリカゲルも撤収直後の水滴吸収に能力を使わされてしまっていて、どうせ低湿度な乾燥にまでは行き着けなくなっているのが実態のようにも見えます。
そうしたことを色々考えると、保管にはA型とB型を両方入れるハイブリッドがいいのではないかと思います。観測後の夜露はB型に任せ、その後の低湿度でA型が作用するようになっていると、とても具合が良さそうです。B型は撮影翌日にでも干しておけば、全体としての乾燥剤メンテの心配からはかなり解放されそうです。うっかり長期間レンチンを忘れていても、高湿度になってしまう最悪状況だけは避けられそうです。
■ 二ノ段の登板はあるか
微妙なところですが、材料を買っちゃったのと、原理と効果は確認しておきたいというどうでもいい趣味的欲求はありますので、梅雨の間にでも完成させておこうかと思います。
夜露対策二ノ段の材料、購入済みですが、虚しく転がってます |
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ちなみに余談ですが、B型シリカゲルを超える特性のドライキーパーなるシート状の高性能乾燥剤もあります。これをカットして斜鏡金具の裏にでも貼っておけば、ひょっとしたら夜露対策は完結してしまう予感も無きにしも非ず、であります。
エアポンプ、二ノ段向けに買ったのですが、果たして本当に必要だったのかどうか…!?!?微妙です。
コメント
シリカゲルにA型とB型があるなんて知りませんでした。
レンチン要らずの乾燥空気用シリカゲルなんて、理想的です。
勉強になりました^^
なのでフライパンで炒めて再生しておりました(笑)・・・以前は!
がしっかし、三ノ段!?まさしく理屈が解明!ありがとぉございますぅ!
私は、経験的に三ノ段を使用するに至っておりましたッ!ははっはは!
昨年、機材置き場で作業中突然の病で、2ヶ月近く戦線離脱(笑)
その後、開け放っていたケース類で乾燥剤の復活組とそぉで無い組に
目が止まり調べB型シリカゲルの事を知りました!
反射鏡筒の乾燥剤には現在ドライヤン(B型シリカゲル)を使ってます!
仰るよぉに、今は蓋を開けてほったらかしにしてます!(笑)
赤猫君は言うに及ばず、反射を使う時には一ノ段で完結しそうで、ガス!
いやぁ!超省エネ結露対策!二ノ段も楽しみで、ガス!テヘッ!
先日はコメントありがとうございました。
わたしの場合Cooled60Dという冷却改造のデジ一眼を昨年まで使っていたのですが、
これが冷却するとカメラ内部で結露が発生し、電源トラブル(結露によるショート?)で
カメラが何度もダウンする事象が発生。
改造元でヒーター能力をアップしてもらったのですが
高湿度の越後の夜には効果がなく、やむなくカメラ自体を箱で覆って
乾燥空気を送り込んで使っていました。(名付けたニックネームは「乾囲送兵衛」)
そのとき使った乾燥剤は”ナニワゲル”というもので、加熱して乾燥させるとすべての粒が濃い青色に。
これを家内からもらった古いフライパンで再生して使っていました。(インスタントラーメンよりは簡単)
心配した過熱による微細化も少なくまだまだ使えそうです。
(残念ながら先ほど検索したところ以前購入したヨドバシカメラでは販売中止になっていました)
それにしても、
以前の記事で金属よりプラスティックの方が放射が大きく冷えやすいというのは
まったくの想定外でした。
金属の表面は冷たいというのも”思い込み”ということになりそうですね。
私も、夜露の地雷を踏み抜くまでは乾燥剤のことをよく知りませんでした。
これからも地雷を踏み踏みしながら(苦笑)、いい方法をゆるーく考えていきたいと思います。
このB型、ワタクシのモノグサな性格にぴったりです。シリカゲルが跳ね回って発生するイライラも抑えられますから、世界平和にも役立つチョイスではないかと、シリカゲル開発者に感謝しております。
秘奥義ニノ段を出すまでもなく夜露を打倒できた感もありますが、こちらも引き続き興味で追及してみます。
冷却カメラは結露対策が大変だと思います。特にカメラごと冷やすデジ一眼ではなおのことで、「乾囲送兵衛」のような工夫、大切になってくるのだと思います。
さて、放射冷却ですが、これはピカピカの三脚が全く結露していなかったので、私も驚きました。その一方で、プラケース類は真っ先に結露してくるので、イメージとは逆ですね。金属は、熱伝導がいいので体温のある人が触ると冷たく感じるのですが、それは別に温度自体が低いということではなかった、ということに気づいたのでした。
こういうどうでもいい発見に気を取られて、撮影自体は亀の歩みでございます(苦笑)
なんと、ダイソーに売ってたんですね、B型シリカゲル。
しかもかなりのお買い得ですね。
しばらく少しだけ家から近い100均にばかり行って、ダイソーに行ってなかったのですが、要チェックですね。
中身は同じだと思います。