格安AGT赤道儀のセッティングあれこれ

Advanced GT赤道儀+SE200N
明らかにトップヘビーですね(汗)
私の格安 Advanced GTの性能を出し切ってもらおうとすると、とにかくきちんとセッティングしてやらないことにはいけません。エコノミー機器こそ各種設定が肝要です。
 今回はその中でも特に重要な、ポーラーアラインメント(極軸合わせ)機能と、アンチバックラッシュ機能について備忘録を兼ねて書いておきたいと思います。
 ちなみに、この Advanced GT赤道儀の問題の一つはマニュアルが嘘をついていることがあることだったりします。おそらく、ファームウェアのバージョンアップをしていく過程でメニュー体系が変わってしまったとか、単純にマニュアルの誤記載とか、そういうことだと思うのですが、これのせいでポーラーアラインメントなんか機能がないのかと思ってしまっていました。

■ ポーラーアラインメント機能
 極軸を正確に合わせるための機能ですね。極軸望遠鏡が極軸と合ってるかどうかなんて微妙ですし、極望の倍率も低いですから、この機能をつかって設定を追い込むのがよさそうです。
 この機能、セレストロンのマニュアルを読むと"MENU"キーを押して"ユーティリティ"から"ポーラーアライン"を選ぶとこの機能を使えることになっていますが、嘘でした。正解は「画面に"Advanced GT"と表示されている状態で"ALIGN"キーを押したメニューから"ポーラーアライン"を選択する」で、メニューからは辿りつけない仕様でした。なかなか難易度高いです。
 この機能をつかってポーラーアラインするには、次の手順を踏みます。
 1. 赤道儀の初期アライメントを実行
 2. GOTO機能で南中に近い星を導入
 3. "Advanced GT"が表示されてる状態でのALIGNキー
 4. ポーラーアラインを選択
 この1~4までをやると、さっき導入した星を赤道儀が再導入しますので、方向キーを使って視野の中央に入れ、表示に従って決定します。そして,
 5. 赤道儀が再びさっきの星を再々導入(しかしズレている)
 6. コントローラは使わず、極軸の水平・垂直微動を使って星を視野中央に導入
 ここまでやって確定してやると、極軸合わせは完了です。
 先ほどの6でのズレが大きかった場合には、赤道儀を再アラインメントすると後が楽です。大したズレでなかった場合は、やらなくても差し支えありません。
 このポーラーアライン機能を使うと、かなり正確に極軸を合わせられます。極軸がきちんとあっていると後のガイドも楽なので、やっておくのがいいと思います。

ポーラーアライメントを精度よくやろうとすると、自動導入の初期アライメントも精度をあげてやっておく必要があります。取説にも記載がありますが、アライメントで視野中央に星を持ってくるときに、最後に使う矢印キーの方向を統一しておくとアライメント精度が上がります。
 例えば、あらかじめEASTキーとSOUTH(?)キーで視野内での基準性の位置をずらしておき、最後に必ずWESTとNORTHで合わせるようにする、といった具合です。ギヤのバックラッシュで生じるアライメント誤差をなくすことが出来て、これがポーラーアラインの精度にも効いてきます。
 取説によれば、この方向が自動導入時の動作方向と一致していると良い、としています。(※印よりここまで 2019.5.25追記)

■ アンチバックラッシュ機能
 アンチバックラッシュ機能は、ギヤのバックラッシュ分だけモーターが早回りしてくれて、あたかもバックラッシュがなくなったかのようにレスポンス良く微動ができるようになる機能です。この機能はオートガイダー使用時にも作動するので、ガイド成功のためには設定値を入念に割り出しておくことが必須です。
 マニュアルによると、「設定値はネガとポジの2つの値があり、方向キーを押したときにポジの値だけモーターを早回しし、離したときにはネガの値だけモーターを逆回ししてもとの追尾中のギヤのかみ合いに戻す」とあります。この記述は赤経についてはその記述通りの動作をしますが、赤緯については嘘でした。だいたい、赤緯には追尾中などという概念がないですね、はい。
 赤緯については、ネガもポジも方向キーを押したときに作用し、離したときには作動しない仕様です。ある方向に赤緯を押すとポジの値の分だけモーターが早回りしてギヤとのかみ合いの位置に来ますが、キーを離しても何の動作もしません。逆の方向のキーを押すと、逆方向にモーターが早回りしてくれる、という動作をします。
 設定については、最初にネガもポジも大きめの値(20とか)を設定しておいて、方向キーを押したときに急な動きが起こらないところまで値を小さくしていきます。設定は高倍率アイピースを使って、なにか恒星を見ながらが良いと思います。私のAGTでは赤緯の場合設定値は12でした。ギリギリで唐突な動きが全くなくなるところまで設定できれば完了です。きちんと設定できると、本当にバックラッシュがないかのような動きをします。
 オートガイダー使用時には、ガイド信号によって「コキコキ」っとモーターが早回りしている音が聞こえますが、ガイド星はしっかり中心を保ってくれます。

マニュアルが正しくないのはどうかとは思うのですが、ちゃんと設定すればそこそこちゃんと動作してくれて必要最低限の機能は揃ってるのが、この格安Advanced GTのいいところじゃないかと思っています。

コメント

山口のじぃ さんの投稿…
はじめまして、山口のじぃと申します。
「AGT」の懐かしい文字に誘われお邪魔しました(笑)
私はGTを使い倒して、充分彼のクセを知り尽くした後
VXに乗り換えました!クセを知り尽くしたとはいえ、
バックラッシュに関しては、物理的に隙間が有るモノを
デジタル処理で亡き者にするのがどぉも気持ち悪く、
専らアナログでギアの隙間調整に頼っていました。
お陰で、モーターカバーのプラネジは壊れてカバー無しの
むき出し状態で使ってました!(笑)
VXに変えてからは一度調整したきりで、そろそろと思って
いたところこちらの記事に遭遇した次第です。
ところでLambdaさんは設定値12とされてるとのこと!
それは赤経も赤緯も同じ値にするとゆぅことでしょぉか?
アナログ人間にどぉかご教授のほど宜しくお願いします。
「本当にバックラッシュがないかのような動きをします。」
この言葉に一筋の光明を見る思いです!(笑)
Lambda さんの投稿…
コメントありがとうございます!
よもや高名な山口のじぃ様にコメントいただけるとは思っておりませんでした。
ブログ「頭上のお宝」は参考にさせていただいております。

さて、ご質問のバックラッシュの件、さすがに目の付けどころがするどいです。
本文中で記載した12という数値は、赤緯のものです。(注:本文を若干修正しました)
赤経については、次の記事のネタにしようと思っていたところですが、ネタバレすると実は0設定にしています。ありがちな方法で物理的にバックラッシュゼロとして追尾するのがよいようです。詳細はまたどこかで記事にしたいと思います。

※私も、モーターカバーのネジ穴がバカになってしまい、エポキシで埋めてます。AGTの勇ましいサウンドを封印するために…。
山口のじぃ さんの投稿…
こんにちは。ご回答ありがとぉございます。
「頭上のお宝」反面教師としてなら参考にして下さい(笑)

「設定値12は赤緯のモノ」了解です。ありがとぉございます。
赤経は動くか止まるか以外に逆転要素も考慮すべきかと不安に
なったもので質問させてもらいました。心配性なもんで(笑)

Lambdaさんのおかげで、アンチバックラッシュ、デジタルへの
扉が開けそぉです。詳細記事、楽しみにしています。

※私は静かに動く国産高級機より、勇ましく仕事してる感じが
・・・はい、ひがんでます(笑)
Lambda さんの投稿…
赤経は、逆転への対応も必要だと思ってます。何かを測定してるわけではないのですが、半自動ガイドの想い出では、停止ボタンだけではじれったく感じた気がするからです。しかし、先人の知恵によって赤経の問題は概ね解消されてると思ってます。

因みに、私もアナログ&デジタルデバイドですので、しょうもない対応策にガッカリされるかもしれませんのが、ご容赦くださいませ。

※勇ましいGTサウンド、確かに仕事してますアピールは微笑ましくて好きです