ガリレオ式単眼鏡と赤道儀

ガリレオ式単眼鏡で赤道儀の初期アライメントが楽になったというお話です。個人的には、光害地の基準星導入にはベストなアイテムなんじゃないかと思ってたりします。
 私がしばらく星の趣味から離れていた間に低倍率ガリレオ式双眼鏡は星空観察用として存在感を示していて、一部で絶賛する声も上がっているようです。そういうわけで、気になって私もヤフオクにて入手してみたのが笠井の WIDEBINO(ワイドビーノ)2.3×40 でした。その見え方は"肉眼の能力が増した感じ"という評判通りのものです。観察には向きませんが、漠然と眺めるのには大変良いアイテムです。
 更にこれには類似品が出ていたりして、そこには単眼鏡バージョンもあったようです。冒頭の赤道儀の初期アライメントにはこの単眼鏡が具合がよいというわけで、こちらもヤフオクでゲットです。(SCOPETECH・日の出光学の「星座望遠鏡」1.8×40)

SCOPETECH・日の出光学「星座望遠鏡(1.8×40)」と
笠井トレーディング 「WIDEBINO(2.3×40)」

■ ガリレオ式
 このWIDEBINOと星座望遠鏡、姿を見てみると大変短いのが特徴で、これはガリレオ式望遠鏡ゆえのことです。ガリレオ式では接眼鏡が凹レンズなので、その焦点距離の分だけ対物レンズに接近させたところに焦点位置があって、このために大変短くコンパクトな鏡筒が実現されています。
 覗いてみると、正立像が気分いいですね。まさに星座の形をはっきり分かろうとすると、ガリレオ式の正立像のメリットを感じます(双眼鏡はふつう正立像なんですけどね)。また、視野環に区切られた視野を見るというよりは、接眼鏡が覗き穴のように感じられる独特の見え加減が面白いです。
 ちなみに、この凸対物レンズ+凹接眼レンズの構成は「ガリレオ式」と呼ばれていますが、発明したのはイタリアのガリレオではなく、オランダの人だったようです。ガリレオは、まだ遠い地で発明されたばかりの望遠鏡を作って初めて空に向けてみたというところが斬新だったわけです。WIDEBINOの視野を覗いていると、当時のガリレオが覗いていた視界もこんなだったのか、、とか思いを馳せることができます。
(ガリレオの望遠鏡は、最初(?)のやつが42mm(有効不明)で9倍、有名なメディチ家保管の2連式が51mm(有効26mm)/14倍と37mm(?有効不明)/20倍とのことです。3か月の間にレンズを自前で研磨して100台も作り、まともなのが10台だったといいますから、驚愕のバイタリティに頭が下がります。)

■ 超低倍率と瞳径と口径
 笠井のWIDEBINOは、口径40mm・2.3倍というスペックのかなり低倍率な双眼鏡です。もとはロシアの製品であるとの情報もみかけましたが、真偽不明です。スペック的には倍率に対して口径が大きく、いわゆる瞳径は17mm超となって多くの光を無駄にしているように見えます。これは40mm・1.8倍の日の出光学星座望遠鏡も同じことです。
 しかし、この瞳径には「テキトーに覗いてもその時点の瞳径で見えるMAXの光量を得られる」というメリットがあります。
 旧い入門書では「瞳径7mmの双眼鏡」みたいのがオススメとなっていたりしますが、よく考えると肉眼と接眼鏡のアライメントを0.1mmとかの精度でとれるわけなんかないよね、というわけで、覗き方にシビアに影響を受ける構成が本当に良いのかどうかは甚だ疑問の残るところです(そういえば、そういう双眼鏡は目幅調整とかによって視野が欠けたりとか、影響を受けやすかったような…)。
 光量的に口径を無駄にしたくない、という気持ちはよく分かるのですが、こんなオペラグラスって丁寧な観測で分解能や極限等級を求める目的のものじゃないよね、とは思うところです。むしろこの口径は、広い視野にわたって細かいことを気にせずに覗けるようにするためのもの、と理解すべきで、カメラレンズの前玉のレンズ径が極限等級にとって有効かどうかを気にする人がいないのと同じことです。
(※私は最近、入門書不信に陥っております)

■ 赤道儀の初期アライメントに最適
 この双眼鏡/単眼鏡を使うと、光害地でも暗い星が良く見えるようになってきます。そして、2倍前後という低倍率と正立像のおかげで、星座の形や星の位置関係がよく分かります。
レッドドットサイトを星座望遠鏡で覗いた感じ
(星にピントを合わせると、ドットも点になります)
赤道儀の初期アライメントでは、2等星とか3等星を導入する必要があるのですが、それがどの星なんだかを間違えるとアライメントが失敗します。そこで、レッドドットサイトを使った初期アライメントをやっているわけなのですが、そうすると肉眼で見えにくい星を導入するのに神経を使います。特に、安いレッドドットサイトでは星が余計に暗く見えるので、光害地ではそこにウィークポイントがありました。
 そこで、低倍率単眼鏡の登板です。WIDEBINOや星座望遠鏡越しにレッドドットサイトを覗くと、視野の向こうに赤いドットが見えてくるというわけです。星とレッドドットの両方にピントが合うので、ばっちりよく見えます。
 このようにレッドドットサイトと組み合わせて使う場合には、片目ずつピントを調整する双眼鏡よりも、星座望遠鏡の方が便利です。これを首にぶら下げながら初期アライメントをやると、実に楽に失敗なく完了することが出来て、大変重宝しています。

コメント

星のGG さんの投稿…
自作F3.2アストログラフで撮ってみましたが、現実は厳しかったですね。笑

AliExpessは魅力的なサイトですね。私も登録していますがなかなか購入に至りません。
ただ、支払いにクレジットカードを使う勇気はありません。
確か今はPaypalは使えないんですよね。デビットカードがプリペイドカードを使って利用しようかと思っています。

所で、私も以前この星座望遠鏡を使ってました。(笑
私の住む所はLight Pollution MapではBortleがclass 8-9なんです。
星座望遠鏡を使ってもあまり見えなくてがっかりした記憶があります。

Lambda さんの投稿…
コメントありがとうございます。

私の自宅も、地方ながら駅前一等地(?)なせいで夜でも自分の影ができるほど光害バリバリです。
おかげで肉眼ではかなり苦しくて、星座望遠鏡がないとすこし暗めの星は途端に分からなくなります。
星座望遠鏡の正しい楽しみ方(?)とは違うと思うのですが、いろいろラクさせてもらってます。

AliExpressは、いろいろな商品がお手頃価格で売っていて、それ自体が面白いサイトですね。私は、クレジットカードも関係なく登録して使っています。何か起きたことはありませんし、何か起きてもカード会社に補償してもらえるわけなので関係ないと割り切っています。