エコノミー機材⑨ オートガイド時代のF4ガイド鏡

 なんの変哲もないガイド鏡ですが、近頃はファインダーシューにつけるようなFの小さいガイドスコープが流行のようですね。ガイドマウント付きで AliExpressで 8,200円ほどで購入しました。最近アリババ(AliExpress)ばかりで買い物していて中国から物が届くので、配達の人になにか怪しく思われてるんじゃないかと心配中です。
 とはいえ、日本でも全く同じ製品にけっこうなプライスタグが付けて売られているので、ついつい AliExpress で購入してしまいます。日本語のヌルさがアレなのですが、エコノミー天文用品のAliExpress事情はなかなか興味深いので、どこかで記事にしてみたいと思います。

A guide scope (6cm/ F4 /fl240mm)
6cm F4ガイド鏡
■ オートガイダー時代のガイド鏡選び
 天文趣味を再開して天体写真を考え始めたときに、ガイド鏡には手持ちのエイコー・スカイホーク(6cm F5, fl=300mm)を使うつもりでいました。こちらは、おもちゃのような外観ながら接眼部は43mmのタカハシアクセサリが付く仕様になっている一方で、付属アイピースはハイゲンスというアンバランスな鏡筒です。鏡筒バンドや微動雲台が付属していて、スチール製のガッチリした鏡筒ではあったのでこれを利用しようと思ったわけです。
Eikow SkyHawk 360 refractive telescope OTA
Eikow スカイホーク (6cm F5)
一昔前は、ガイド鏡には「長い筒を使って精度よく」というのがセオリーだったと思います。しかし最近は、どういうわけだかやたらと短い筒のガイド鏡が大流行しているのですが、私には最初この6cm F5も十分短く感じられました。私の世代的には、ガイド鏡といえどもF4なんていうアクロマート鏡筒にはアレルギーがあるわけです。
 さて、結論から言うと、そのエイコースカイホークはガイド鏡として不適でした。まず、NexGuideの視野が狭くてガイド星の導入が容易でないのです。鏡筒が重たく、微動雲台も簡易なXYのものなので、思うようにガイド星を導入できませんし、ガイド中も安定ではありません。
 オートガイダーはセンサーの画素分解能が肉眼などより高い一方で、視野は広くはないわけです。わずかな振動も拡大されて見えてしまいます。また、比較的暗い星でも写そうとすると、口径比(F)が明るいことが重要になります。重要なのは口径ではなくF値だ、というのが肉眼とセンサーの大きな違いです。
 オートガイダー時代はF値が小さく軽い鏡筒をガッチリ固定して使う、というのがセオリーであるようでした。
 結局、ガイドマウントやらなにやらを購入しようと思うと、AliExpressの今風のガイド鏡より高くなってしまうので、エイコーのスカイホークは断念したのでありました。

■ 6cm F4 (fl=240mm)ガイド鏡
 今や標準的なガイドスコープとして色々なショップで売られているやつです。ブラックの見た目はなかなか悪くありません。金属製の鏡筒は全体にガッチリしていますが、重すぎることはありません。
 ビクセン規格のファインダーシューに取り付けることが出来て、6本のネジでなかなかガッチリと固定でき、ガイド星の導入も容易です。ガイドマウントの重心が低いのも、たわみ防止という観点でグーです。
 接眼部も、粗動とヘリコイドの二段式でいずれも固定ネジがついていて、使い勝手は良好です。この鏡筒がガイド鏡脚込みで8,200円ですから、お買い得感は満点と言えます。

■ もっと短いガイド鏡が良いのかも
 ですが、ショップのサイトを眺めてみますと、昨今のガイド鏡は更に短いのが主流になりつつあるようです。理屈から言うと、暗い星を写すという観点ではF値がモノを言い、昨今の複数の星を使ったガイディングでは視野内の恒星の数がモノを言うわけですから、「焦点距離が短くてFの明るい」ガイド鏡がいいということになるわけです。
 私が使っている6cm F4にしたって、恒星を写すと1ピクセル以上の大きさになってきて、その移動量を検出といったって、シーイングの都合で1ピクセルくらい軽く揺らめいているわけです。
 そんなことなら、数多くの恒星を写して平均的な移動量を見てやった方が精度が高い、というのはごもっともな話です。
 このオートガイダー時代には、5cm F4(fl=200mm)とか、3.2cm F4(fl=130mm)とかの方が向いているように思えました。シングルスターガイドのNexGuideでは今の6cmF4で問題はありませんが、ガイドシステムを変えて高精度化を果たそうとすれば、より小さいガイド鏡が選択肢になってくるかなあと思うのでした。昔の感覚とはずいぶん違いますね。
 ちなみに、AliExpress では、5cm F4が7,300円3.2cm F4が6,200円と激安ですから、これらを選択肢に入れるのは良さそうです。特に 3cm F4なんてファインダーみたいな外観ですが、調整具もなく接眼部を固定した理に適った構成ですから、高精度ガイドには大変向いているように思えるのであります。5cmF3とか出ないかな…。

※[訂正] Eikow スカイホーク360 の焦点距離を「fl=360mm, F6」と記載しておりましたが、誤りでありました。正しくは「fl=300mm, F5」でありましたので、記事中の数値を訂正しました (2019/3/24)

コメント

星のGG さんの投稿…
いつも興味深い記事を拝見させてもらっています。
見慣れた短焦点望遠鏡・Eikow スカイホークの写真があったのでついコメントしました。
3月23日の私のブログ記事の末尾に掲載しているM42はその望遠鏡で撮りました。
焦点距離360mm/f:6なんですね。f:5だと思ってました。
お陰様でブログ記事の誤りを訂正できました。有難うございます。
Lambda さんの投稿…
コメントありがとうございます。そしてスカイホークの焦点距離の件、確認しましたところ、当方の記述が誤りでありました!300mm F5が正解です。商品名がスカイホーク360だったので、完全に誤認しておりました。

誤った情報で混乱させてしまい、大変申し訳ありません。

※ところで、「暗い星空…」の記事に掲載されている公害地での写真は、なんとこのスカイホークでの撮影だったのですね!大変参考になります。素晴らしいです。