ニュートン反射のフラット対策(市街地 M42編)

それっぽく撮れた市街地からのM42星雲
SE200N CR + AGT + NexGuider,
Skywatcher コマコレクター,Astronomik UHC/XT,
Canon EOS kiss X5,
60s×20(ISO1600)+300s×14(ISO400)+480s×2(ISO400),
これまでフラットがイマイチ決まらず、妙なカブリに敗退し続けてきた直焦点撮影でしたが、対策がうまくいったぽいので報告です。

 今年は天候不順のまま夏・秋が過ぎてしまい、まともに撮影できたのは3か月ぶりという体たらくで冬シーズン突入ということで、M42オリオン大星雲にトライしたのでした。
 この星雲は、少年だった頃から一度くらいはソレっぽい写真を撮ってみたいと思っていたところでした。今回の写真は星像のイマイチ感とか気になるところは色々あるのですが、ひとまずは市街地の自宅庭からでもソレっぽくは撮れた、というわけで、フラット対策は図に当たったようであります。

 結論から申しますと「フードが大切です」という当たり前のことなのですが、どうやらニュートン反射ではフラット撮影でもフードが重要な意味を持つということに、今更の周回遅れながらも気付いたのでありました。

■ フラット補正で起きていた問題
 そもそも、フラット補正というのは、周辺減光などで写野内に生じる光量のムラを、あらかじめ均一な光を撮影した「フラット画像」で補正しよう、というものです。
フラット補正の失敗例
フラット画像の撮影は、筒先に平面な拡散板を取り付けてやれば良いという程度の浅はかな認識で、運よく上手く行ったことはあったのですが、その後の撮影ではいま一つ上手く行っておらず、敗退の連続でした。
 失敗事例の多くは、周辺減光の補正が上手く行かないというよりは、円形なはずのイメージサークルとは関係なさそうなカブリのグラデーションが生じてしまうというものでした。
 写真のM20の事例では、対角上に右上から左下に向けてグラデーションが生じていますが、カメラの直前に設置された干渉フィルタの効果で色が変わっています。つまり、右上と左下で入射角が随分違うということが示されていて、円形ではないことからマトモに光学系から来ている光ではなさそうです。

 この原因として真っ先に思い浮かんだのは街灯などによる迷光です。我が家の庭は、至近距離にある2つの街灯のほか、ナイター設備のような駅を照らす明るい照明設備によって、深夜でも影が出来るほどの光の入射があります。
 このため、望遠鏡の周りには暗幕を張ったりして迷光対策をしていたつもりでしたが、カブリはイマイチ減りませんでした。

■ 着脱可能フードを製作する(未完成ですけど)
 最初から作っておけよ、と言うお話なのですが、筒先に固定してしまうとハンドリングが面倒そうだという理由で手が付けられておりませんでした。
 望遠鏡のフード自体は市販されていて私も購入して持っているのですが、うちのSE200Nはビクセンの鏡筒よりも若干太いようで、寸法が足りないという難点がありました。また、ニュートン鏡筒には筒先にリングがついていて平行でもなく、ネジが飛び出していたりするため、プラ製のものを巻き付けると案外平行を保ちにくくて、傾いたりし易いというのも難点です。
 ちゃんとしっかりしたフードがメーカーから用意されてないというのはいかがなものかという気もしますが、筒ごとに専用設計になってしまうので価格的に折り合いをつけるのが難しいような気もします(でも、筒先リングがフード着脱ベースくらいにはなっててほしい)。
SE200Nに取り付けた着脱式フード(段ボール製)

 製作した着脱式フードは、まず取り付け平行部を確保する着脱用のベースを段ボールで作って鏡筒に固定し、ここに白い障子紙を巻いて補強しました。
 SE200N CR用には、内径φ232、外径φ255としてベースを作成しました。この寸法は、少し太めのフードが巻けて、なおかつ合焦装置(但し減速装置に換装)に干渉しないというサイズで決めました。(このサイズですと、純正の合焦ノブは干渉するかもしれません)

 フードそのものは、片段ボールで色付きの「黒」を材料としてチョイスしました。黒い面を内側に向けるといい感じです。これを着脱ベースにしっかり巻き付けて、テープで固定すれば完了です。
 最終的には、遮光環を入れて外側を銀色シートで巻いて完成させようと思っております。
※注意:着脱ベースをつけてしまうと斜鏡のセンター位置の調整ができなくなるので、これを十分に行った後が良いと思います。

■ 対象撮影時の迷光とフラット
 フードの効果は、一般的に言われているように迷光の防止です。ニュートン反射における迷光というのは、図にも示したように接眼筒に直接入ってしまう外光です。また、外光が強い場合には、外光が照らす鏡筒壁面から散乱して来た光も接眼筒に入ってしまい、迷光になります。
 そして大事なことですが、こうした迷光はフラット撮影時には基本的に再現されないわけですから、スカイフラットだろうが積分球だろうが、この迷光をキレイに補正することはできません
 このことは、迷光の少ない空の暗い撮影地に出かければ問題にはなりません。しかし、市街地での撮影では、迷光のことを十分に意識しておく必要がありそうです。
ニュートン反射での対象撮影時の迷光

■ フラット画像撮影とフード
 迷光について考えていたら、フラット撮影をやっている時にも、接眼筒に直接入り込む光は無い方がいいな、ということに思い至りました。フラット画像の撮影にはいくつか方法があるようですが、ここでは拡散板を使ってのフラット撮影を例として説明します。
 ちなみに、私がいま行っているフラットの撮影は、対象の撮影が終わって片付けた翌朝に、部屋で保管中の天井に向いた鏡筒び筒先に拡散板(というか障子紙)をつけて、天井からの光(昼光)を光源にして撮影しています。

 拡散板を使うという撮影状態は、板の「各点からあらゆる方向に光が散乱する状態」を作るということです。
 ここで、ニュートン反射では、光っている拡散板から接眼筒に直接向かってしまう光もある、というのがポイントです。この光によって、フラット画像にも散乱光が迷光として入り込んでしまうというわけです。ここが屈折系とは違って面倒くさい点なのです。

 だとすると、拡散板の位置はニュートン反射の接眼筒から十分に離さないといけない、というのが良いフラットを撮る必要条件となるというわけです。そこで、フードには再び登場してもらって、フードの先に拡散板(障子紙)を取り付ければこの問題は解消、というわけです。
ニュートン反射での拡散版によるフラット画像撮影と迷光

フラット画像撮影の拡散板はフードの先へ

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 このように、対象撮影時の迷光対策と、フラット撮影時の拡散板の離れた場所への配置によって、私のフラット補正問題はひとまず決着したように思われるのでありました。

 このあたりのところは、遠征に出かけられている方々や、屈折やカセグレンなど接眼筒が筒先から遠い光学系を使われてる方々からすれば問題にも感じないところかもしれませんが、市街地庭撮りをやる場合には大切ではないかと思うのです。
(市街地でフード無しというのが無謀だったというお話です)

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コメント

タカsi さんのコメント…
こんにちは。
フードはやっぱりあったほうがいいですよね^ - ^
風の影響が大きくなりますが、夜露対策にも一役かってます。
遮光環ですが、工作面倒で当初はやってなかったのですが、環を付けるとコントラストが一段上がった気がします。
でも、効果の検証は難しいですね^ - ^
Lambda さんの投稿…
タカsiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。

まったく、皆様がフードをそれぞれ自作なさっているの理由が良く理解できます。
夜露も、銀シートを巻いてしまえば、そこで対策はほぼ終わりの感があります。
(鏡筒に巻いてからというものは結露にはやられていませんが)

遮光環、やっぱりあるとコントラストにも良さそうですし、なによりカッコいいですね。
ビールの空き箱がたまったら作ろうと思っております ^^;