今年2022年は、長野県小海での「八ヶ岳星と自然のフェスタinこうみ (2022.11.11-13)」に参加することが叶いました。参加された方々の機材は、機材そのものの美しさ、実際に見える天体の像、運用の妙など、様々な観点で刺激を頂けるものばかりでした。
ここでそれぞれの機材紹介を行ってしまうととても私の筆では書き切れませんので、今回は私の周囲で起きたことにフォーカスしてご紹介したいと思います。
※小海星フェスについては、各種備忘録を自己レスとして追ってコメント欄に書き込んで残しておこうと思います。後々次年度以降の参加を考える方はコメント欄もご覧くださればと思います。
私はと言うと、持参したのは人気投票でダントツだったミザール 120SL RS20P鏡筒で、これに「スリコール スーパーオルソー」や「ルーペ・アイピース」の組み合わせで惑星を見ていただきました。私が望遠鏡を設営した2日目のシーイングはだいぶ悪かったのですが、その中にあっても一瞬見える木星の縞模様のうねりを見ながらルーペ・アイピースの見比べや、「パワーメイト vs エクスプロア・サイエンティフィック」の5倍バーロー見比べなどができたのでした。
2022.11.12(2日目)の撤収直前の会場の様子 長い接眼部は「バーロー + ルーペ・アイピース」です。 |
昼間の設営の様子。大型の機材が並びます。 |
■ ルーペ・アイピース3種の頂上(?)対決!
ルーペアイピースとして、抜群のコストパフォーマンスを誇るベラルーシの「BelOMOトリプレット x10」は、バーローとの組み合わせで抜群のプラネタリーアイピースになることが分かっており、このパフォーマンスはシベットさんが詳述している通りです。私もアイピースとして組み上げて保有しております。
また、同様に Nikonの宝飾用10倍ルーペも大変優秀で、utoさんが良好な結果を得ていたり、じろーさんからの報告などから、良アイピースとしての評価が聞こえてきます。
こうなってくると俄然興味が湧いてくるのが、様々な場面で脅威の性能を見せてくれる ZEISSのルーペです。こちらは TenTakTony(T3)さんのプロの道具としてのルーペとして高い評価が聞こえてきており、望遠鏡用途での性能が気になるというわけです。
そこで、私も ZEISS トリプレット10倍ルーペ D40 ("Aplanatisch-Achromatische") をアイピース化するアダプターを製作し、小海に持参したというわけでした。このD40は、今なお Amazon などから新品を入手可能で、やや高いとは言え超価格というわけでもないす。
アイピース化したZEISSのルーペ ※写真は自宅でのもの |
この手の宝飾用アイピースはいわゆるシュタインハイル型のルーペで、三枚玉を張り合わせることで収差補正が大変良好になっているものです。10倍のルーペは焦点距離換算で25mmですから、惑星観察に用いるためにはバーローと組み合わせます。
惑星観察における"ヌケ"の考察の通り、長焦点の1群モノセントリックは惑星向けに有利というわけです。
この見比べが、小海で持ち寄られたルーペアイピース達で実現したわけでした。
コーティングが施されているBelOMO(ベロモ)とツァイス、敢えてノンコートのNikonという違いも気になるところでした。また、同じ10倍ですが、焦点距離がベロモは約28mm、Nikonとツァイスは25mmで、このためベロモでの倍率はやや低めです。
見比べの結論は、シベットさんの表現を借りると「100m走に例えれば、いずれも 9秒99と9秒98みたいな僅差で、どれも凄いことに変わりはない」というところでした。私もそう思います。
敢えて優劣をつけるとすると、「9秒99がベロモ、9秒98がニコンとツァイスで写真判定(?)」で、残念ながらこの日のシーイングでは写真判定的な厳密比較は困難、というのがシベットさん、utoさん、私Lambdaの共通見解でした。ニコンやツァイスのラベルによる心理効果という意見もありましたが、ハイレベルの中に確かに見え方の差(合焦時のコントラスト)はあったように思います。また、コーティングのあるツァイスやベロモはやや明るいように思われました。
持参したワインレッドの鏡筒 |
なお、この日のシーイングでも、12cmながらλ/20の鏡と最強アイピースと目されるルーペのおかげで、縞模様のうねりや細い縞などの細部を時おり楽しむことができました。
この120SLRS20P、ワインレッド鏡筒を肴に様々な方と会話できたのも得難い体験そのもので、並み居る巨砲の影にあったこの小さい望遠鏡を訪れてくださった皆様に、感謝です。
■ 5倍バーロー対決 TeleVue vs Explore Scientific
「ES の5倍バーローはテレビューのPOWERMATE 5xの代わりたりえるか?!」という命題に対して、シベットさんがESバーローをお持ちくださいましたので、見比べが成立しました。使用したアイピースは、ひとまず基準として良さそうな ツァイス・ルーペ です。
結論は、「同じ像ではないが、優劣を言うのは難しい」というものでした。
厳密にはシーイング良好な日に比べる必要がありますが「エクスプロア・サイエンティフィックの5倍バーローは、パワーメイト5倍の代用として十分相手になりうる」という判定です。
ハンドリングは細身のパワーメイトが良いという部分もあるかもしれませんが、像の良否については簡単には言えないというのが正直なところです。ここは十分詰めてみる価値もありそうです。
ここバーローにおいてもやはり、「9秒99対・・・」のような世界があるように思えたのでした。
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■ 古スコブランド「ダウエル」の復活蚤の市、フリーマーケットで見かけたのが、往年の御三家筆頭ダウエル(Dauer)のロゴの入った帽子とジャケット
ダウエルロゴのジャケット |
こちらは、「レトロ望遠鏡展示室」のガラクマさんがダウエル光学の正統伝承者として(?)その復活を企図するもので、その心は「望遠鏡部品の提供者」ということでした。
コメント
2022年の「八ヶ岳星と自然のフェスタinこうみ」は開催場所であるホテルとの連携もバッチリで、各種催しもまったくスムースに執り行われました。(2021年はこのあたりの運営にギクシャクがあったとも耳にしましたが、2022年は全くそういうことを感じることがありませんでした)
天文マニアからお子さんまで、全員が楽しめるよいイベントだったのではないかと思います。
まずは実行委員会・運営・ボランティアの皆様に感謝です。
小海星フェス(2022)のサイト:
https://www.hoshifeskoumi.com/
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また、2022年度は、実行委員会の「テレスコ工作工房」で懇親会参加などを取りまとめて頂いていました。
https://blog.goo.ne.jp/tkfactory-japan2014/e/3ac44e39883a9d615a2eeab11c49f06a
事前に「テレスコ工作工房」のおやじ猫さんには相談しておりましたが、基本的にはメイン会場に自分の望遠鏡を設置できるイベントでした。
メイン会場には車を置いておくことはできませんので、大型機材の方は設営時/撤収時のみ車を入れていました。
また、大型機材を除いては基本的には日毎の設置/撤収が原則のようですが、基本的には盗難や破損を心配してのことだと思います。
とはいえ、昼間は昼間で太陽観察などに望遠鏡が活躍していましたし、結局のところ
「プレ開催時や土曜の昼間に場所取りをして、望遠鏡を設置しておくのがお披露目の意味でも良かった」ようです(2022年)。
会場には大型の機材が目立ちますので、やはり昼間のうちに機材を展開して「自分がここにいる」ということをアピールしておいたほうが良かったようです(私の小さい 12cmを見つけられなかった方、スミマセンでした)。
やはり、自分が誰なのかを示す「名札」はあったほうが良いと思いました。ほぼ初見の方々と暗闇の中で大勢と会話することもあって、どなたなのかが視覚で分かるのは大事だと感じました。
私も即席ながら、名札を準備していって良かったと思いました。LAmbdaはこんなやつか、と思っていただけたかと思います。
また、離れたところから「自分がここにいることを示せるいでたち」も大事かなと思いました。今回は、ダウエルジャケットを着込んでTwitterで公開したことで、初めて自分を(離れたところから)認識していただけて面会がかなったということがありました。
一方で、今回は持参しなかったのですが、「名刺」はあると便利だと思いました。
リアル名刺は例外を除いては配布しにくいので、SNS版名刺の準備があると自己紹介がスムースです。次回は用意したいと思います。