近頃は天文機材ショップでも輸入品をよく見かけますが、その多くに中国製が目に付きます。製造だけでなく設計自体も中国というものも増えていますし、そういうものにラベルを貼って西欧風味にしているものもあるように見えます。
私自身は別に中国シンパとかではないのですが、近頃の中華製品の品質には眼を見張るべきものがある、と思っています。このブログのきっかけにもなったSE-200N鏡筒やAdvanced GT赤道儀もそうです。また、最近の高性能冷却カメラなども完全に中国製品がリードしている印象があります。
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| AliExpress にある天文ショップの例 |
で、AliExpress は、本場中国のアリババが日本を含む海外向けにやっているショッピングサイトで、中華版Amazonという感じのサイトです。
具体的なショップについては次回の記事にしますが、ここでは AliExpressにおける天文機材購入の全体感を紹介したいと思います。
■ 中国の天文機材事情はマニア向け
AliExpress では、このブログでも何度か紹介しているように、お買い得品が数多く出品されています。天文機器専門店もあったりします。
眺めていて面白いというか不思議なのは、AliExpress では普通の望遠鏡セットは売っていなくて、超粗悪品かマニア向けパーツばかりが売っているということです。望遠鏡セットはないのに、写真用EDアポ鏡筒とか、ガイド鏡とか、レーザーコリメータとか、バーティノフマスクとか、干渉フィルターとか、フィルターホイールとか、まあマニアックで高性能なものが揃っているわけです。
中国の方の天文趣味事情はわかりませんが、思うにAliExpressでの天文用品は日本を含む海外マニア向けの商売ではないか、とも見えます。
■ 名の通ったブランドは高い
中華製とはいえ、具体的には SkyWatcher の製品などの名の通ったブランドは高くなっています。またセレストロンの製品もみかけられますが、こうした海外ブランドは基本的には高い傾向があるようです（注:スペシャルラムスデンのように粗悪品扱いのものはやたらと安い）。また、名は通っていなくても全てが安いというわけでもなく、安いものは探してみるしかないようです。
■ アダプタ類は明らかにお買い得
一方で、接眼系のアダプタや各種リング類はだいぶ安い価格で売られていてお買い得感満載です。このような製品は、どうせNC機械で自動で作ってしまうので本質的に精度の問題が出にくく、特に旋盤系のものはおかしな出来にはなりにくいので、そういうものはAliExpress で買うに限る、と個人的には思っています。
各種延長筒やスペーサー、カメラマウントなどが非常に安価に手に入り、種類も豊富です。金属製のキャップなども安価で質感がなかなかグーです。天文用品ではないのですが、サイトファインダー用のレールなどもだいぶお安い価格で買えるので、助かりました。
■ 言葉の壁はある
アマゾンとは違って、アリババ（AliExpress）の方は勝手がちょっと違います。まず何が違うかというと、出店者が日本ではなく中国で、日本向けというよりは世界向けだということです。
このため、サイトの日本語がかなりヌルいのが難点の一つです。「dovetail = 意地の悪い女」みたいな訳なので、説明文を読んでも解読が困難な場合もあります。自動翻訳だからというのもありますが、もとの英文も結構ヌルいので、輪をかけて解読が難しくなっています。
この日本語の問題と相俟って困難さを演出しているのが、検索の難しさです。日本語検索ではまずもって所望のものをヒットさせられません。何かを探そうと思ったら、"eyepiece"、"guide scope"のように英単語を入力する必要があります。そして、英単語検索でよさげなショップを見つけてそこの商品を物色してみる、というのがいい方法のように思えます（私はそうしています）。
■ 到着は忘れた頃に
アマゾンとの大きな違いには、納期があります。送料は安いのですが、２週間とか３週間とかかかって、忘れた頃に到着するのがデフォです。ショップは至って真面目で注文後即座に発送してくれるのですが、いかんせん通関に時間がかかるのがその理由です。この辺の時間を焦らずに待てることが、このAliExpressを楽しむ条件かもしれません。
■ クレカ登録は心配ないのか？
まあ、心配してませんし、問題が起きたこともありません。というのもクレジットカードの場合、不正利用があったときに経済的責任を被るのは私でなくてカード会社なので、自分には被害が及ばないわけですから、ためらう理由はありません。
（※公共料金支払いのカードの場合は、金銭的被害はなくても、カードが失効するといろいろ面倒はありますので注意は必要です）
■ やってくる品物の品質は？
概ね良好です。これまでに天文関係で明らかにダメだったのは、ニセモノTMBのPlanetaryIIだけですが、こちらが本当に根本的な粗悪品であったかどうかは今一度確認が要る状況ではあります（組み立て不良を疑っている）。これのほかでは、問題がある商品が届いたことはありません。
ハッキリ言って、ブツの品質に関しては日本のショップが輸入してるものと変わろうはずもないわけです。ただ、一定の割合で不良品は混じっているのではないかとは想像されるわけで、そういうときに返品等に応じてもらえるかどうかというところが価格差なんだと理解する必要はあります。
なお、ブツが来た／来ないとか、正常かどうか、ということに関しては、ショップとのチャットで対話が可能です。中国語ではなく、英語で対応してくれるのが有難いところです。ユーザーからの評価に敏感になっているショップが多く、クレーム等にも割と真摯・丁寧に対応してくれるショップが多いです。
ただ、中にはバッタ屋系のショップもあって、ショップ名が何かのID番号みたいなのはダメなことが多いような気がします。天体関係ではありませんが、品質がイマイチなのを掴まされて（といっても\500以下ｗ）文句を言ったのですが、反応がイマイチだったりしたことはあります。
さて、そういうわけで、AliExpressは私を散財へといざなう凶悪な 楽しいサイトなのですが、ゲテモノも玉石混淆ながら、なかなか見どころはあると思うのであります。
次回は、これまでに私が買ったものや利用したショップなどの具体的なお話を書ければ、と思っています。
（ちなみに、本家アリババのサイトを探検すると、中国国内の天文事情と共に更にリーズナブルな機器が見えては来るのですが，ふつうは中国語がどうにもならんです、はい。）
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