究極の頂上対決として役者を揃えました。今回はその予告編と選手紹介です。
惑星向け高倍率アイピースの頂上対決は、ラムスデンが良く見えた事件、ペンタオルソとの比較、そして恒星像比較の結果から、もはや避けられぬ宿命でした。
大切なのは良く設計された収差補正なのか、それとも少ないレンズ枚数がもたらすヌケの良さか、レンズ自体の研磨精度か、はたまた増透コーティングや迷光防止策なのか。
こうした観点を総合して、頂上対決にふさわしいアイピースとして次の6本を揃えました。
【リファレンス】
PENTAX Or-6:良質なアイピースとしてこれまでもテストに使ってきたリファレンスです。非SMCですがよく見えます。
Celestron SR-4:ペンタオルソと互角以上の勝負を繰り広げてきたスペシャルラムスデン、SR-4です。こちらもリファレンスです。オモチャのくせに良く見えすぎです。筒内気流対策のときに撮った木星も土星もSR-4によるものですが、色収差とか球面収差ってどれですかと聞きたいです。
【頂上へのチャレンジャー達】
ビクセンのハイパーラムスデン3群5枚構成の超高倍率アイピース「HR」です。ワールドクラスの接眼鏡オタクであるPaolini氏をして「大変崇拝するZAO (Zeiss Abbe Ortho) IIを上回る」とまで言わしめるからには、興味が湧かざるを得ない惑星用アイピースです。
このHR2.4mmは世間的な評価としても最もハイレベルにあると考えられ、Pentax XOやTMBスーパーモノセントリックの上を行く現代の最新設計アイピースの最高峰として購入しました。SR-4が100本は買えるお値段です。
これまで私はビクセンのアイピースにはあまりいい思い出がないのですが、今回こそは頂上対決にふさわしいアイピースとして、ストレール強度とやらの能書きの神通力を魅せる横綱相撲に期待が高まります。
これ以上はない究極シンプルなレンズ構成です。
ガリレオが望遠鏡を作った2年後、ケプラー式望遠鏡が世に出でし1611年以来400年以上が経過した最古のアイピース形式でもあります(この時代、エキサイティングですネ!)。
単レンズ接眼鏡については、前出のPaolini氏がその中心像について「ZAO IIやTMBスーパーモノセントリックを超える」と著書の中で述べていて、ボールレンズを用いた単レンズアイピースをいくつも自作し、何ページも割いて紹介しています。私も、この記述を読んだからこそシンプルなSR-4に興味を持ったのでした。
ただ、ボールレンズは、レーザーなどの分野で光軸を出しやすいレンズとして用いられるのですが、名の通り曲率が深いので球面収差が気になるところです。Paolini氏は、10~15°程度の極端に狭い有効見掛け視界と強烈に短いアイレリーフを気にしてボールレンズを選択しています。
今回のテストでは性能を優先し、波面収差 P-V λ/4以下の精度で研磨され可視光増透マルチコーティングとコバの黒塗りが施してある光学実験用の平凸レンズを注文しました。焦点距離は6mmで、価格は6,000円ほどでした。ケプラーはかつて球面収差を嫌ってか、当時球面研磨が難しかったからか、当時平凸レンズを使ったと聞きます。
このレンズを、たくさん買っておいたSR-4を解体した鏡筒内面に光学ブラックで艶消し塗装を施し、徹底的に迷光防止を図った鏡筒に収めて"The Kepler" と命名し、この対決にエントリーさせる予定です(ご神体=レンズの納入待ち)。
あらゆる収差の理論をガン無視して中心像のヌケの良さにすべてを懸けた、「何も足さない、何も引かない」究極のアイピースと言えます。「かいしんのいちげき」がある旭道山の相撲のような、一撃必殺の何かを期待しています。
Pentaxの投影撮影用アイピース(現在はRICHO扱い)で、アッベオルソを逆さにしたようなレンズ群に補正レンズを一枚加えた独自の3群5枚の構成のものです。XOが眼視用途を目的とした変形プレスルの"Observation"アイピースであるのに対して、XPは投影用"Projection"アイピースとして眼視用途で重視されがちな視界の広さやアイレリーフなどを度外視して像質と像面湾曲抑制に力を割いた撮影用の設計になっています。
覗きやすさを犠牲にした分だけ、狭い視野内での像質の良さを期待させてくれます。世間的には眼視用途でのレポートは多くないようですが、メーカーサイドは中心から周辺に至るまでの「収差を極限まで低減した」上で、眼視にも使用可としています。撮影対決のことも念頭に、優等生アイピース(?)として入手しました。
【ダークホース】
前回、小望遠鏡のオマケでついてきたEIKOW H-6 のヌケが思いのほかいいことが星像対決で判明してしまい、より詳しくテストする必要が出てきました。
そうなると、素のハイゲンスより球面収差補正に優れるとされるミッテンズヴェー・ハイゲンスも気になるところです。そこで、名門五藤光学のものをダークホースとして頂上対決にエントリーです。(注釈※初期の記事では入手できるかが不透明でしたので、検討中としておりました。真面目に欲しがる人が他にけっこういらっしゃるというのが意外で、そこそこいいお値段でした。同時に出品されていた五藤Or-4には目玉が飛び出るビンテージ価格がついておりました。)
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以上のように、歴史上最古に属する単レンズを現代の技術で仕上げた逸品から、最新設計の最高性能アイピースまでを幅広く揃えての頂上対決です。
天才ホイヘンスやラムスデンに始まった数百年にもわたる人類の光学設計の努力と進歩がもたらす最高性能レンズ設計が、そんな収差理論なんぞクソくらえだと骨太に主張する元祖ケプラーの単レンズの挑戦を果たして退けられるのかどうか、条件の良い対決の夜が待ち遠しいです。
ちなみに、両方にそれなりにお金をかけちゃってる身としては、「どっちもガンバレ」状態ではあります。能書きや値段はさておき、よく見えたヤツの勝ちです。
眼視インプレッション対決と、恒星像撮影対決を考えております。
*小生、じつは単身赴任中の身につきほとんど自宅におらず、これから梅雨時期に突入してしまうことを考えると、これらをテストできる機会は先になってしまいそうです…。
惑星向け高倍率アイピースの頂上対決は、ラムスデンが良く見えた事件、ペンタオルソとの比較、そして恒星像比較の結果から、もはや避けられぬ宿命でした。
大切なのは良く設計された収差補正なのか、それとも少ないレンズ枚数がもたらすヌケの良さか、レンズ自体の研磨精度か、はたまた増透コーティングや迷光防止策なのか。
こうした観点を総合して、頂上対決にふさわしいアイピースとして次の6本を揃えました。
【リファレンス】
PENTAX Or-6:良質なアイピースとしてこれまでもテストに使ってきたリファレンスです。非SMCですがよく見えます。
Celestron SR-4:ペンタオルソと互角以上の勝負を繰り広げてきたスペシャルラムスデン、SR-4です。こちらもリファレンスです。オモチャのくせに良く見えすぎです。筒内気流対策のときに撮った木星も土星もSR-4によるものですが、色収差とか球面収差ってどれですかと聞きたいです。
【頂上へのチャレンジャー達】
Vixen HR 2.4mm:
Vixen High Resolution HR 2.4mm |
このHR2.4mmは世間的な評価としても最もハイレベルにあると考えられ、Pentax XOやTMBスーパーモノセントリックの上を行く現代の最新設計アイピースの最高峰として購入しました。SR-4が100本は買えるお値段です。
これまで私はビクセンのアイピースにはあまりいい思い出がないのですが、今回こそは頂上対決にふさわしいアイピースとして、ストレール強度とやらの能書きの神通力を魅せる横綱相撲に期待が高まります。
単レンズ "The Kepler" 6mm:
The Kepler 単レンズ6mm (ご神体coming soon) |
ガリレオが望遠鏡を作った2年後、ケプラー式望遠鏡が世に出でし1611年以来400年以上が経過した最古のアイピース形式でもあります(この時代、エキサイティングですネ!)。
単レンズ接眼鏡については、前出のPaolini氏がその中心像について「ZAO IIやTMBスーパーモノセントリックを超える」と著書の中で述べていて、ボールレンズを用いた単レンズアイピースをいくつも自作し、何ページも割いて紹介しています。私も、この記述を読んだからこそシンプルなSR-4に興味を持ったのでした。
ただ、ボールレンズは、レーザーなどの分野で光軸を出しやすいレンズとして用いられるのですが、名の通り曲率が深いので球面収差が気になるところです。Paolini氏は、10~15°程度の極端に狭い有効見掛け視界と強烈に短いアイレリーフを気にしてボールレンズを選択しています。
今回のテストでは性能を優先し、波面収差 P-V λ/4以下の精度で研磨され可視光増透マルチコーティングとコバの黒塗りが施してある光学実験用の平凸レンズを注文しました。焦点距離は6mmで、価格は6,000円ほどでした。ケプラーはかつて球面収差を嫌ってか、当時球面研磨が難しかったからか、当時平凸レンズを使ったと聞きます。
このレンズを、たくさん買っておいたSR-4を解体した鏡筒内面に光学ブラックで艶消し塗装を施し、徹底的に迷光防止を図った鏡筒に収めて"The Kepler" と命名し、この対決にエントリーさせる予定です(ご神体=レンズの納入待ち)。
あらゆる収差の理論をガン無視して中心像のヌケの良さにすべてを懸けた、「何も足さない、何も引かない」究極のアイピースと言えます。「かいしんのいちげき」がある旭道山の相撲のような、一撃必殺の何かを期待しています。
SMC Pentax XP3.8mm:
Pentax XP3.8mm |
覗きやすさを犠牲にした分だけ、狭い視野内での像質の良さを期待させてくれます。世間的には眼視用途でのレポートは多くないようですが、メーカーサイドは中心から周辺に至るまでの「収差を極限まで低減した」上で、眼視にも使用可としています。撮影対決のことも念頭に、優等生アイピース(?)として入手しました。
【ダークホース】
五藤光学 MH-6mm:
五藤光学 MH-6mm |
そうなると、素のハイゲンスより球面収差補正に優れるとされるミッテンズヴェー・ハイゲンスも気になるところです。そこで、名門五藤光学のものをダークホースとして頂上対決にエントリーです。(注釈※初期の記事では入手できるかが不透明でしたので、検討中としておりました。真面目に欲しがる人が他にけっこういらっしゃるというのが意外で、そこそこいいお値段でした。同時に出品されていた五藤Or-4には目玉が飛び出るビンテージ価格がついておりました。)
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以上のように、歴史上最古に属する単レンズを現代の技術で仕上げた逸品から、最新設計の最高性能アイピースまでを幅広く揃えての頂上対決です。
天才ホイヘンスやラムスデンに始まった数百年にもわたる人類の光学設計の努力と進歩がもたらす最高性能レンズ設計が、そんな収差理論なんぞクソくらえだと骨太に主張する元祖ケプラーの単レンズの挑戦を果たして退けられるのかどうか、条件の良い対決の夜が待ち遠しいです。
ちなみに、両方にそれなりにお金をかけちゃってる身としては、「どっちもガンバレ」状態ではあります。能書きや値段はさておき、よく見えたヤツの勝ちです。
眼視インプレッション対決と、恒星像撮影対決を考えております。
*小生、じつは単身赴任中の身につきほとんど自宅におらず、これから梅雨時期に突入してしまうことを考えると、これらをテストできる機会は先になってしまいそうです…。
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