M20三裂星雲/ Astronomik UHC-XT フィルターファーストライト

梅雨空の合間に、久しぶりにガイド撮影をやる機会に恵まれました。実に5月の連休以来のガイド撮影は単身赴任中の身には貴重な機会ということで、狙いをM20三裂星雲に定めて用意してあった Astronomik UHC-XTフィルターファーストライトです(エコノミー機材から乖離しつつあるような…(汗))。

■ Astronomik UHC-XTフィルター これまで使ってきたSvBONY UHCフィルターは、OPLTOLONG社のものと同じ特性ではあったのですが、どうしても青側のカットがゆるやかで、駅前の自宅からではLED街灯光が青カブリを発生させてつらい状況ではありました。
 そこで、SvBONYの時の記事で調べた特性から、一番青側をカットできている Astronomik UHCフィルターをポチってしまったのでありました。
 ちなみにフィルター名の後ろについている「XT」は Extra Thin ということで厚さ0.3mmのフィルターで、周辺まで星像が崩れないというのがウリのやつです。薄いので、顕微鏡のカバーグラスのようにパキッと割ってしまわないよう要注意です。

■ 撮影システム
これまでに構築してきた令和元年式撮影システムにAtstronomik UHCフィルターをつけて撮影トライです。5月の連休のころからすると、合焦装置に微動がついてピント合わせが大変ラクにはなりました。また、当日の湿度はほぼ100%で、プラスチック類や鏡筒表面は結露しまくっていましたが、主鏡・斜鏡は夜露対策一ノ段のお陰で全く結露せず、なんとか惨敗の夜のリベンジは果たせたようです。もちろんガイド鏡のフードと鏡筒に巻いた銀色シートも効いていて、結露しなかったのはもちろん筒内気流によるガイド星の揺れも収まってくれました。

■ M20三裂星雲
M20星雲は、射手座の天の川の中にあって星の数が多い賑やかなところにあります。星雲自体は淡くて光害地では青いところまで写せるかどうかが謎だったのですが、辛うじて写ってくれました。撮影は10分×10枚行って、ガイド不良は1枚でした(風でわずかに振動したようです)。採用した写真の総露光時間は90分です(畜光力がつらいっす…)。

M20三裂星雲

[撮影データ: 2019.6.14 1:00頃, SE200N(20cm F5), SkyWatcherコマコレクター, Astronomik UHC-XTフィルター, EOS kiss X5(新改造) ※撮影システム], ISO800, 10分×9, DSSにてスタック後SI8にて調整, トリミング

■ 夏場のガイドNexGuide固有の問題)
 5月と違ってやや戸惑ったのが、天の川の中のはずなのにガイド星選びに困ったということでした。もちろん、アイピースを使ってちょうどいい星を中心付近に持ってくるのですが、NexGuideがうまく星をロックオンしてくれないのです。
 「ピントでも外れたか?」と思って調整してみるのですが、よくみると星ではないところに何かがチラチラ見えます。そう、気温が上がった結果ノイズレベルが上がり、これまで使ってきた300msの露光時間ではダメだったのです。そういうわけで200msの露光時間でやるわけですが、そうすると今度は微光星は捉えてくれないということで、困ったもんです。感度の高いガイドカメラはいいなぁ。。
 もうひとつ、夏場は地面に草が生い茂りつつあるので、膝をついて画面を見ていると足がドクダミ臭くなったりズボンが汚れて家人から有難いお説法を頂いたりするので、NexGuideの画面は100均で調達した手鏡で確認します。
 このNexGuideは悪いガイダーではないのですが、この画面の設計だけは落第点です。画面とカメラをくっつけたのが悪手で、どうせ外付けのコントローラがあるのだから、画面はコントローラにつけるべきだったとしか思えません。カメラがいろいろな接続の中心になってしまっているので、ケーブルもここに多くを接続する形となっていてガイドエラーを誘発するので、この設計だけはいいところナシです。
 まあ、どうせ画面は「Lock On」と「Guide」の二つしか使わないので、手鏡ひとつで姿勢の問題は解決できるわけで、文句を言っても仕方ないところなのですが…。

■ 課題は依然としてフラット?カブリ?
 なんとかそれっぽく写ってくれたM20ですが、フラットに失敗というか、謎のカブリに付きまとわれています。画角の右上から左下にかけて色が変わっているところを見ると、干渉フィルターより望遠鏡側から入ってから光が、フラット撮影の時とは違っているようです。
 今回のフラットは部屋で撮影している天井フラットなのですが、フラットの撮影法というよりは迷光対策がしくじってるのかもしれません。なんとなく強力だと思われる街灯からの光を遮ったつもりでいたのですが、鏡筒の向きによっては別の灯火が差し込んでいるのかも…。
(そういえば、子午線をまたいで反転させたときに、写野の取り方を間違えてしまったのですが、このときに接眼筒に入る光を十分に確認しないまま撮影を開始しちゃいました。接眼筒の向きも180°変わってるわけで、気にすべき街灯が変わったのが原因かも。)

写真の全景です。
この画角全体にまたがる強力なカブリが難物です。うーむ。
(アングルを間違えちゃった…)

次に撮影可能なのはいつになることやら…。ヤレヤレです。



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コメント

星のGG さんの投稿…
10分露出って凄いですね。
光害下での長時間露出は邪悪な光が写りこんでしまうので大変ですよね。
チャンスがあれば是非とも遠征に行ってください。
きっと素晴らしい写真がとれると思います。
Lambda さんの投稿…
星のGGさん、コメントありがとうございます!
そうなんです。光害下では背景の方が星雲より明るくて、なかなか大変です。
でも新しいフィルターは、そこそこに光害を防いでくれています(露光時間は長くなっちゃいますが)

遠征、ぜひリベンジしたいと思ってます!